今日が2019-2020年大学度の初日でした。午前中は、東京恵比寿の日仏会館とストラスブール大学の一会議室をテレビ会議で繋いでのセミナーでした。午後は、新入生オリエンテーションでの学科紹介、それに引き続いて学科会議と、午後5時過ぎまで、昼食を取る時間もありませんでした。6時過ぎに自宅に帰り着いたときは、さすがにかなりくたびれていました。
テレビ会議は、7時20分から始まっていたのですが、そのセッションは東京側の発表を聴くだけだし、長い一日なるとわかっている日の始まりとしていくらなんでも早すぎると思い、自分が参加する次のセッションに間に合うように家を出ました。
ところが、到着してみると、テレビ会議の接続に技術的な問題が発生していて、東京側の発表の映像だけで、何も聞こえない状態でした。大学の職員を呼んでこの問題を解消するのに十五分ほどかかり、聞こえるようにはなりましたが、今度は映像が来なくなりました。そんなこんなであたふたとし、私が参加するセッションが始まったのは、予定より30分近く遅れてでした。
しかも、最初の発表者の途中で接続が切れ、復旧させるのにまた職員を呼び、私の発表の途中でも一回切れてしまい、同じことの繰り返し。発表後のやりとりもストラスブール側の参加者間ではあり、それはそれで面白かったのですが、結局、東京側とは質疑応答はなく、それどころか、最初の発表の後、東京側の参加者の一人から、セミナーのやり方そのものへの批判が飛び出し、それに主催者がお詫びするといった一幕もあり、とても快適とは言えない条件下での発表でした。
発表そのものは、後半一部省略した以外は、ほぼイメージした通りにできました。発表内容に関しては、その主な主題であったシモンドンの技術の哲学は、地球環境危機という現代のコンテキストの中では、どうしてもその技術観の楽天性ばかりが目立ってしまい、シモンドンの個体化の哲学を知らない人たちには、時代遅れに見えてしまうだろうと予想していましたが、やはり予想通りの反応がストラスブール側でありました。
しかし、「帰農 Retour à la terre」というセミナーのテーマを「大地への回帰 Retour à la Terre」と読み替えて、その回帰のために技術が果たす役割をシモンドンの技術の哲学に依拠して強調することで、セミナー本来のテーマをより広い視野で見直す一つの契機を提供することはできたのではないかと思います。