たつた一度何かを新しく見てください
あなたの心に美がのりうつると
あなたの眼は時間の裏空間の外をも見ます
どんなに切なく辛い悲しい日にも
この美はあなたの味方になります
仮りの身がしんじつの身になります
〜高村 光太郎「手紙に添へて」〜
ワタシ
は
病気。
らしい
命
には
まったくもって
別状の無い
ヒト
は
本来
何も持たず
に
生まれ
何も持たず
に
遂げていく
その
中途
に
異様なほどに
何か
に
固執したり
何か
に
雁字搦め
に
なったり
基準
が
自身
から
他者
に
乗り移った
状態
に
稀に
陥って
本人
は
新しき
美しき
自身
に
出逢えた
と
悦んでいるのに
それを
指差し
常軌を逸してる!
そう
声高々
に
否定する
世間といふ
モノ
に
云わせる
と
ワタシ
は
たしかに
病
に
冒されている
らしい
いままで
守られていたであろう
居場所
に
居心地の悪さ
を
懐くのも
始めて
この街
を
離れてみたい
そう
想う
のも
すべて
病
に
おける
一症状
に
過ぎないのだろうか
すべて
は
病の所為
なのです。
そういえば
赦してもらえるのだろうか
健やかなる
五肢
は
もとより
健やかなる
魂
を
貫き
何モノも
寄せつけず
何モノも
受け容れぬ
それを
健常
と
自負する
モノ
に
は
憧れず
憐れみすら
憶える
それならば
ワタシ
は
このまま
冒されて
いたい
透明なチューヴ
から
注がれる
美しき点滴
だけで
生きのびて
みたい