ペリカンみたいな
白いスリッポン
つがいみたいに
仲良く並べて
春は
まっさらなモノを
身につけたくなる
まっさらな自分と
向き合いたくなる
白は
何色にも染まる
自分らしさを
持たない
曖昧な色さ
キミに逢うまでは
そう
想っていた
でもキミが
あまりにも
まっさらな
白いシャツを
格好良く
着こなすモノだから
ボクの中の白は
揺るがない
確固たる色と
塗り替えられたんだ
ボクは
キミと比べてみたら
なんとも
強気なクセに
ココロは弱く
白は汚れが目立つから
なんて
へんな言い訳をしながら
逃げてきたんだ
誤魔化してきたんだ
でも
このままじゃ
いけないって
キミに憧れる
もうヒトリのボクが
変わるなら
今だよ
春だよ
そう囁いてくれている
そんなこんなで
手始めに
ペリカンみたいな
スリッポンを
買ってみたわけ
頑張ってみるよ
靴が汚れやしないかと
ビクビク俯き
歩くような
ボクのままじゃ
いられないから
前を見て
胸を張って
ちょっと視線を
先へ伸ばしてみるよ
汚れたら洗えばいい
何度も
何度でも
あらやだ
クタクタね
キミがそう云って
ケラケラ笑う頃には
ずいぶん
足に馴染んでいるかな
かっこいいだろう?
そう云って
おすましするボクを
またキミは
ケラケラ笑って
くれたらいいなぁ
キミには
笑顔が似合うもの
キミに逢いたくなったなら
甘いラブソングを
鼻唄交じりに
唄いながら
このスリッポンでも
洗っているよ
白い靴を干していても
降参のサインじゃ
ないからね
ココで
頑張ってみるよの
サインだからね
じゃ
歩き出すよ
慣れるかな
ボクの道
だけど
キミのいない
淋しい道
じゃ
行くね
キミがとなりに居たら
きっと意地悪して
ボクの靴を
踏みそうだから
あー
キミが居ないでよかった
なんて
強がりを云う
ボクは
まだまだ
弱いね
じゃ
行くね
何処へ向かうのか
何処へ辿り着くのか
見当も
つきやしないけど
じゃ