マイスターのお道具箱

ドイツに住むピアノ技術者、ーまーのブログ

風邪をひく

2015-02-07 | ピアノ技術者の仕事

28年くらい前にピアノの調律をしたことのあるお城。
僕たち夫婦の仲人さんが還暦のお祝いをされた時に、調律させてもらった。
普段は車で素通りするくらいで、綺麗な庭園があるなんてすっかり忘れている。



かなり老朽化しているこのお城、普段は無人なので館内を見学するような観光目的では
使われていないようだ。たまに会議や演奏会など人が集まる催し物の時だけ貸し出しているようだが
一般的に知られている様子もなさそう。
今回、どういうわけかピアノの調律をうけたまわったのだけれど、
記憶を辿るとかなり状態の悪いグランドピアノだったので、当時と同じ楽器だったらいややなぁと
思っていた。
 当日、セキュリティ会社の係員が門を開けてくれる事になっていた。
でも、来なかった。連絡しても通じない、本部に電話してもすでにそちらに向かっているとのこと、
寒い中、青い門の前で1時間待ったけど、来なかった。(係のおじさんは途中で緊急入院したそうな)
調律は次の日に延期となった。 風邪ひいた。



 翌日、館内に入ることができた。
案の定、昔から置かれているあのピアノのままだった。
別の技術者が管理をしていたようで調律はさほど狂っていなかったのだけれど、
相変わらず鉄板のように重いタッチ。これで演奏しろっていうのは過酷。
何グラムって? 計測不可能・・・
タッチがなんでそんなに重いのか、28年前の当時はわからなかった。
でも今はピアノの中を覗くだけですぐに原因がわかるようになっている。
これを「成長した」と言うのだろうか、「年の功」と言うのだろうか。

タッチ変更は簡単に直せるものではなく、大改造が必要なようだ。
でもきっとこの先何十年もこの鉄板タッチでいくことになるんやろなぁ。
ピアノを直す前にお城の傷みを直すのが先決やろからな。

 嗅覚と味覚が1週間ぶりで戻りつつある。 今年の風邪も治りが遅い。 ーまー