マイスターのお道具箱

ドイツに住むピアノ技術者、ーまーのブログ

ボクはボク、人と比べんとって

2010-04-07 | ピアノ技術者の仕事

 おさむ君を見てみいな、ええ大学に入ってしっかり頑張ってはんのに
それにひきかえあんたは…  とか
元カレのほうが断然イケ面やったのに、何でまたこんな仏頂面の… とか

勝手に比べられたほうはええ迷惑や。
主観で判断して優劣を決め付けるだけなのでまったく手に負えない。
そういう僕もついついいろんなものを勝手に比べて自分の好みをきめている。
とかく人は比べたがる動物なのだ。

     

長い付き合いのあるピアニストから興味深いCDを教えてもらった。
5台のピアノを同じ曲で同じピアニストが演奏する
マイクの位置などの録音条件は皆同じ、ピアノ調律のピッチも同じ。
「5台を一度に比べて聴いてみよう」を売りにしたCD

世間一般で言われているように各メーカーの音色にはそれぞれ特徴がある。
設計や材料、製作方法や製作技術、思い入れやコンセプト…
根本的に音の違いがあって当たり前。 いわゆる キャラクター ってやつ。
このCDを聴いてその違いが分かれば、とりあえずおめでたいことだと思う。
ここで自分よがりに優劣を付けると「主観や立場」が騒ぎ出すので
やめたほうがいい。

一応曲がりなりにもピアノ技術業界で生きているボク。
なるほど、聴いてみてそれぞれのキャラクターの違いはよく分かった。
でも、このピアノの音はどのメーカーですか?と逆に訊ねられた場合、
100パーセント正しく答えられるかどうか全く自信はない。 

今回、このCDでのボクの収穫
 カルボナーラなピアノメーカー、アルデンテな音色で良い印象を受けた。
 今までにあまり触れたことのない楽器なので新鮮さがあったのかも知れない。
 それぞれの鍵盤に触れて、実際にタッチや弾き具合をもとことん比べてみたい
 という衝動に駆られた。
 
興味のある方、試してみてください。     ーまー