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※毎週土曜更新を目標にしています。

第112回雀三郎つるっぱし亭

2012年10月25日 18時03分45秒 | 落語・講談・お笑い
昨日は久し振りに「つるっぱし亭」へ。
開場時には10人程度だったが、結局30人程度の入りにはなった。
もっと入っても良さそうな会なのに。


「米揚げ笊」(染吉):△

この人を見るのは初めて。

声が大きいのは良い。
若干演劇風の発声で、遠くに声が飛んでいっている気はする。

マクラを振らず、時間の都合かネタもかなり端折っていた。
「急いている男に尋ねる」や「笊売りの売り声の練習をする」場面なし。
確かにこのネタの本筋でないと言えばないのだが、
このあたりのよくウケる箇所を抜くのは非常に勿体ない。

きっちり語尾まで喋っているが、少しリズムが悪いところがあった。
あと、堂島の旦那のベースに
大きさと相場師の修羅場をくぐって来た凄みは欲しい。

一度めくりを返し忘れたところがあったが、
座布団を折って返すなど、
お茶子としての動きが丁寧できびきびしており、好感が持てた。


「口合小町」(雀三郎):○-

マクラで学生時代に言っていたものなど、
様々な口合を紹介。
南光の作ったものが素晴らしい。

演り慣れていないネタらしく、
言い淀んだり流れが悪かったりする箇所が散見された。
最初のおかみさんの言い立てははっきり聞き取れるが、
「立て板に水で喋り続ける」感じが「船弁慶」などに比べて弱い。
もう少し間を詰める箇所を増やす必要があるのかも知れない。

オリジナルと思われる口合も、2つ3つ入っていた。

「口合を言うための無理やりの設定だろう」と感じることの多い
「衝立を水で拭くか湯で拭くか」や、
「餅屋の作兵衛さんが樒持って歩いている」や
「隣の茂兵衛さん」などが自然に聞こえるのが良い。
恐らく、その光景やそれを見た際の人物の心理を想像し、
良いバランスで表現できているからだと思う。
例えば「樒持って歩く」と言う時には
それを見た甚兵衛さんの「死人が出ている」ことを悼む様子が見えるし。

最後の夫婦の会話、徐々におかみさんが調子に乗っていく様子が明確に描写され、
徳さん(だったか)が「悪かった、もう遊びに出ない」「お前が心配」と言うのが
さもありなん、と思わせて良かった。


「餅屋問答」(出丸):○-

以前の公開収録の際と同様のマクラ。

その時よりも詰まる箇所も少なく、勢い良く進めていた。
雀松とは違う雰囲気だが、
餅屋の六兵衛さん(ざこばを想定しているように思う)、
偽住職、権助の乱暴さや軽さなど、この人に合ったネタだと思う。
雲水はもう少し収まった方が良いかも知れないが、まあ、仕方ないだろう。

途中で科白を(けっこう)飛ばして言い直してしまっていたのが勿体ない。

最後のバラシの最初の「こんなに大きい」の言い方が
一瞬引いてしまっていたように感じた。
ここはこの人らしく、押し続けて欲しかったところ。
体調・体力的な問題かも知れないが。


「軒づけ」(雀三郎):◎-

パンフにも書いている「初音ミク」の話。
演者だけでなく、3Dの客を入れる、
笑う箇所や笑い方をいろいろ変える、という発想が面白い。
特定の客の名前を出すのはどうかと思う(分かってしまう自分も嫌だ)が。

ネタは枝雀ベースだと思うが、
雀三郎なりのギャグ、誇張、ツッコミの科白がいろいろ入っていて良かった。
「てんさん」の三味線に対する不安や、
「てんさん」が「ここかな」と言って(座敷に上がった時も)軽く一撥入れるところなど。

「鰻の茶漬」と「てんさん」という2人のアホというかイチビリについて、
「てんさん」メインで「鰻の茶漬」はそこまでではない、と感じることが多いのだが、
どちらも同程度にかなり難儀な人になっていた。
また、浄瑠璃好きな他の連中も振り回されつつ、
単なる一般人ではなく、
この連中はこの連中で(家族からだけでなく)一般社会では
爪弾きに遭っているんだろうな、と感じられる人物設定になっていた。

語っている人の名前を聞く科白が入るのだが特に回収せず。
この科白、入れなくても良いのでは?と思った。

浄瑠璃を大声で語っているのが楽しげ。
特に最後、「てんさん」がイチビリなだけでなく、浄瑠璃に乗って
「トテチン」や「チリトテチン」を入れてしまうのも分かるし、
その後「語っていられない」や、おばあさんの「浄瑠璃が上手」まで、
陽気に流れていた。

満腹。
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