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いけだ落語うぃーく~今宵は「襲名ばなし」で~

2013年04月25日 20時38分44秒 | 落語・講談・お笑い

月曜は池田のアゼリアホールへ。

毎年この時期に春団治一門会などを開催しているのだが、
今年は「落語うぃーく」と称して1週間にわたり、
様々な企画の落語会が開催されることになったらしい。

初日は「襲名ばなし」として、
最近襲名した噺家、今後襲名が予定されている噺家が集まって
対談の後落語をやる、という企画。


襲名座談会(小佐田定雄・前田憲司・出演者全員)

最初小佐田・前田両氏が幕前で昔の襲名の話やその際の資料などを
スライドも使いながら紹介。
その後幕を開けて全員でトーク、という流れ。

最初の資料は枝鶴・枝雀・福団治同時襲名時のもの、
その後明治・大正・戦中期の配り物など。
なかなか興味深い。
角座での三人同時襲名でも、トリはかしまし娘であったり、
(話には出なかったが)仲入後に痴楽が出ており
「倒れたのはこの時だっけ?」と思ったり。

幕を開けてのトークは
それぞれ配り物(前田憲司が手元に持っていたもの?)を見せて。
どこかで聞いた話ばかりかな、と思っていたら
意外に初めて聞けた話が多く、良かった。
ざこばの「宛名」の話や「祝儀」といったぶっちゃけ話も面白く。
枝鶴襲名時の話を聞くと、
松竹芸能はやはり噺家に対して冷淡なのだな、と改めて感じた。


「おごろもち盗人」(文都):△+

襲名後見るのは初めて。
若干適当になっている、という印象は持った。
元々堅過ぎる程の人なので、決して悪いことではないと思う。

泥棒のマクラを幾つか。
東京大阪の比較マクラは良かった。
単に口癖や誇張するのではなく、それぞれの発想の違いが出ている。
「桃栗三年柿八年」や「臭覚と収穫」を掛けたもの、
「大便」はイマイチかな。

ネタはまあまあだが、全体には盗人が若干弱いと感じた。
アホっぽく、時にオカマっぽく。
もう少しプロの盗人の雰囲気、
捕まることで刑務所に放り込まれる危機感があった方が良いと思う。
細かい部分は、最初の夫の応対の仕方、
「草履」にまつわるギャグの繰り返し、
土を掘ったり横に寄せたりする仕草など良かった。

後の男は一人だが、「明日の節季に払えない」は
そもそも夫の算盤を入れていた時の悩みと繋がって良かった。
サゲの「泥棒や」の言い方は少しスパッと切れていない感じ。


「禁酒関所」(枝鶴):○-

少し「襲名」に掛けて愚痴を言って、
ホールに来るまでの「こんなおかしなことがあった」の羅列。
米朝系とは異なるラフな感じがこれはこれで悪くない。

ネタは「松本の旦那」が飲む場面はなく、
いきなり店の場面から。
時間の都合を考えたら省略する手はあるが、
「あの酒好きの旦那が」と後で門番が感じるためにも
酒を飲む場面は入れておいた方が良いと思う。

この人の声が少し荒い声、乱暴な言葉遣いは個人的には好み。
丁稚の喋り方、可愛げも良い。
侍も若干言葉遣いが乱暴であり、
元々侍というよりは町人が召抱えられて侍をやっている、という感じ。
「竹の水仙」の大槻玄蕃同様の作り方か。
最後の「殺すぞ」はちとキツ過ぎるかな、と思う。

店の連中が独り言を言いながら番所まで行くのは良し悪しかな。
何も言わずに場面転換した方が良いかも。

最後の小便も特にクドくはなく、悪くなかった。


「たいこ腹」(雀松):○-

幇間関連のマクラを振ってネタへ。
「お茶屋の仕組み」をもう少し振らないと分かりづらいのでは、と思ったのだが、
それがなくともそこそこウケていたので、不要なのかも知れない。

ネタはいつも通り。
特に間を取ったり強く人物分けをしたりせずにトントンと運んでいく。
安心して身を任せていられ、よくウケていた。

マクラの「上げての末の幇間」を踏まえると、
幇間は若旦那より年上なのでは、とふと思ったのだが、
ネタでは幇間の方が若いように感じた。
もう少し様々な経験を通じての陰もある軽さ、があった方が良いのかも知れない。

可愛さを売りにする仕草が少し増えていたように思う。


「文七元結」(ざこば):△+

家庭の話を少しマクラに振ってネタへ。

動楽亭のネタ下ろし以来。
バクチが好きで後先を見ない左官の辰五郎がニンに合っている。
ただ、根本的に上方でこのネタを演るのは好きになれない。
最終的に「良かったね」に落ち着くのが好きでないのかも知れない。

辰五郎が帰宅して嫁さんとやり取りして、
新町の扇屋に行く流れは同じ。
ここで娘が父親を諌める際の台詞が少し多い。
もっと口数少ない方が一言一言の重みが増し、辰五郎の心に響くと思う。
友達を連れて壁を撫でて、というエピソードは良いのだが。
あと、全体に道を歩きながらの独り言が多いように思う。

東横堀の橋で手代が身を投げるのを見つける。
少し地理関係に違和感を持ったのだが、
新町から帰る途中に通りかかるって、
辰五郎の家はどこにあるのだろう。

身投げを止める場面は少し粗い。
「50円と聞いて自分の財布に意識を向ける」ところは
もう少しクサく見せた方が良いと思う。
止める際のロジックの一つとして
「ここを通りかかる度に思い出して嫌になる」は現実的だし、
上方でも特に違和感のない設定。

金を渡した後、店の場面はなく長屋での夫婦喧嘩。
これはこれで辰五郎の気を繋げられるので悪くないが、
若干、後の旦那による状況説明が長くなってしまうので良し悪し。
また、「すぐに貰えるかい」と横で隠れている嫁さんに言う繰り返し、
辰五郎の計画性が見えて好みでない。
ウケには繋がるが、辰五郎の性質とは合わないと思う。
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