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休業手当について(2)「使用者の責に帰すべき事由」とは?(「経営上の障害」について)

2020年06月02日 09時24分20秒 | お仕事
前回のブログで、「休業手当」が必要になる条件として、「使用者の責に帰すべき事由」による休業、というお話をしました。
その中で、
「不可抗力(天変地異)」については除外されるが、
「使用者の故意・過失」よりは広い、という説明を紹介しました。

この、「使用者の故意・過失」より拡張された部分を、
故意・過失があるとは言えない「経営上の障害」と呼び、
この部分については「使用者の責に帰すべき事由」に含まれる(=休業手当の対象となる)
解されています。

具体的には、
「顧客減少」「機械の検査」「原料の不足」「流通機構の不円滑による資材入手難」
「監督官庁の勧告による操業停止」「親会社の経営難のための資金・資材の獲得困難」等が
「経営上の障害」と認められ、
そのため休業した場合に休業手当の支給が求めらている事例があります。

経営者側から見ますと、けっこう「厳しい」と感じられるものもあるのではないでしょうか。
このあたりには、労働者の生活が使用者に依存している、という関係を踏まえて
使用者には労働者を働かせて(=働くための前提や環境を整備して)、
給与を支払う義務がある、と考え方が表れているように思います。

では、今回の「新型コロナウイルス」に伴う休業はどうでしょうか?
「不可抗力(天変地異)」(=「休業手当」の支給は不要)と考えられますし、
「経営上の障害」(=「休業手当」の支給が必要)にあたるのでは、とも考えられます。

結論としては、休業した場合に、一概には「休業手当」の支給要否は決まらない、ということになります。
厚生労働省のHPにQAがあります。
新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)|厚生労働省
「休業手当」に関する部分をまとめますと、
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| ●一般論として、「不可抗力」になる(=「休業手当」の支払義務なし)のは、以下の2つの要件をともに満たすものであり、
|  どちらか一方でも満たさないと「使用者の責に帰すべき事由」にあたる(=「休業手当」の支払義務あり)可能性がある。
|  1.その原因が事業の外部より発生した事故であること(外部起因性)
|  2.事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること(防止不可能性)
| 
| 【新型コロナウイルスに感染した場合・感染の恐れがある場合】
| ●新型コロナウイルスに感染しており、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、
|  一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられるので、休業手当を支払う必要はない。
| 
| ●新型コロナウイルスへの感染が疑われる方について、「帰国者・接触者相談センター」でのご相談の結果を踏まえても、
|  職務の継続が可能である方について、使用者の自主的判断で休業させる場合には、
|  一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要がある。
| 
| ●発熱などの症状があるため労働者が自主的に休んでいる場合は、
|  通常の病欠と同様に取り扱えば良い(=休業手当の支払は不要)。
|  但し、発熱などの症状があることのみをもって一律に労働者に休んでもらう措置をとる場合のように、使用者の判断で休業させる場合は、
|  一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要がある。
| 
| 【事業の休止の場合】
| ●一般論として、今回の新型コロナウイルス感染症により、事業の休止などを余儀なくされた場合において、
|  労働者を休業させるときには、労使がよく話し合って労働者の不利益を回避するように努力することが大切
| 
| ●海外の取引先が新型コロナウイルス感染症を受け事業を休止したことに伴う事業の休止である場合には、
|  当該取引先への依存の程度、他の代替手段の可能性、事業休止からの期間、
|  使用者としての休業回避のための具体的努力等を総合的に勘案し、判断する必要がある(一概に言えない)。
| 
| ●協力依頼や要請などを受けて営業を自粛し、労働者を休業させる場合であっても、
|  労使がよく話し合って、休業中の手当の水準、休業日や休業時間の設定等について、労働者の不利益を回避する努力をお願いする。
|  一律に労働基準法に基づく休業手当の支払義務がなくなるものではない
|  例えば、営業を自粛するよう協力依頼や要請などを受けた場合であっても、
|  使用者として休業を回避するための具体的努力を最大限尽くしていると言える必要がある。
|  例えば、
|   ・自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合において、これを十分に検討しているか
|   ・労働者に他に就かせることができる業務があるにもかかわらず休業させていないか
|  といった事情から判断されるので、このような検討が不十分であれば「休業手当は必要」と判断される可能性がある。
|
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個人的には、今回の「新型コロナウイルス」の対応では、
政府は使用者に過度の負担を負わせ過ぎなのでは、と感じます。
「具体的努力を最大限尽くしている」ことを事業主に求めていますが、
政府自身が「具体的努力を最大限尽くしている」のか?と悪口も言いたくなります。

特に国が「休業要請」や「自粛要請」した事業所に対しては、資金繰り等を考えると、
使用者が労働者に「休業手当」を支給し、その後、国が「雇用調整助成金」で補填する形ではなく、
直接、国が労働者に対して支給するべきだと考えます。
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