先人の軌跡をたどりながら千草街道15kmを踏破
=東近江市から三重県菰野町へ=
◇東近江
東近江市甲津畑町から鈴鹿山脈を越えて、三重県菰野町へ抜けるフィールドワーク「千草街道を往く」(永源寺地区まちづくり協議会主催)が、このほどに開かれた。毎年人気の企画で、今年も市内外からスタッフを含めた百十五人が参加。歴史ある街道を辿り、豊かな自然に触れた。
かつて、織田信長や多くの商人が行き通いした千草街道には、様々な歴史と伝承、文化が残る。近代には甲津畑鉱山として栄えたほか、炭焼きも盛んで、登山道脇のあちこちに、石を積んだ炭焼きの竈跡と集落跡が点在している。
杉峠(標高千四十二メートル)を目指し、地元スタッフの案内のもと、杉の木が綺麗に立ち並ぶ林道を抜けると、信長が杉谷善住坊に狙撃された「善住坊の隠れ岩」や、蓮如が比叡山衆徒に追われ、難を逃れたとの伝承が残る石碑「蓮如上人遺跡」などが、街道の初めに存在する。
遺跡のほか、歴史を感じさせるブナ並木、巨樹の「一反ぼうそう」、武田信玄が植えたと伝えられる「かいしんの杉」など、自然が織りなす雄大な風景も魅力の一つで、咲き頃を迎えたイワウチワやヤマツツジなどの花といっしょに、参加者はカメラに収めていた。
杉峠を越え、真っ白な石灰岩が広がり、澄んだ水が流れる川沿いを下りながら、滋賀と三重の県境になる根ノ平峠(標高八百三メートル)を通過。全長約十五キロメートルにもなる街道を約八時間かけて、ゴール地点の朝明キャンプ場に到着した。
キャンプ場では、達成感を分かち合う参加者らに、菰野町観光協会による同町の名産「まこも汁」が振る舞われ、疲れを癒した。(古澤和也)