
「アカデミア橋」スケッチ 2017年作 イタリア・ヴェネチア
残念ながら色塗りで失敗してしまって、
みなさまに完成をお見せできなくなってしまったスケッチのご紹介です。
アカデミア美術館からサルーテ聖堂に向かって歩いていきますと、
橋をひとつ越えたところにサン・ヴィオ広場(Campo San Vio)があります。
大運河に面していて、広々とあたりを見渡せる気持ちのいい広場で、
アカデミア橋を渡る賑やかな人々や
行きかう船を楽しみながらスケッチをしました。
そういえば、このとき
めずらしくお巡りさんが三脚にカメラ機器を据えて
船のネズミ取りを始めまして、
それが気になってしまい見ていたら
ハトのフンが私に命中し、
気を取り直してスケッチを再開したら
ウミネコに靴をひつこく突かれて、
危うく食べられそうになったのを
よく覚えています。
ちなみに1998年にもアカデミア橋を油絵で描いていまして
記事はこちら「ベネチア人の立ち話し好き」
おや
アカデミア橋のたもとにある
一番背の高い木が
風にふかれて
なにやら話しだしました。
さらさらさら~
昨日の夜のことは夢だろううか?
サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会の塔に住む
翼の生えた妖精が空からやってきて
僕の腕に腰かけてこういったんだ。
「君のてっぺんの葉っぱには、なんでも叶う力があるよ!
もちろん、そのことを本当だと信じればだけどね・・・」
そして笑いながらまた空へと飛んで行った・・・。
ほんとうのように思えてしかたない。
ぼくは、向かえのアカデミア美術館の前に住んでいる
可愛らしい木のことが大好きなんだ。
彼女を大運河越しに毎日眺めれて、幸せではいるけれど
思いを伝えられなくて
胸がギシギシなって苦しいよ。
彼女はスズメが好きで、手のひらにのせてよくお話ししている。
そのときの彼女の瞳ときたら急に細く真っ黒になって
キラキラした光があちこちからあふれて、
とびきり嬉しそうなんだ。
よし
信じるぞ!
信じて失うものなど何もないさ
てっぺんの葉っぱよ
魔法の風にふかれて離れ
くるくる回って
落ちたときに
チュンチュン鳴く
スズメに生まれ変わりなさい
そして僕のこの思いを伝えておくれ
サラサラサラ~
(風にふかれて葉が一枚
くるくる回って落ちていきました)
くるくる
くるくる
ぱさぁ
「チューチュー」
違う違う!
チューチューじゃない
チューチュー鳴くネズミなんかじゃないよ
(ネズミは「チュー」と鳴いて走って逃げていきました)
よし、もう一度
イメージ
イメージ
スズメの飛ぶイメージ
てっぺんの葉っぱよ
魔法の風にふかれて離れ
くるくる回って
落ちたときに
可愛らしく空を飛ぶ
スズメに生まれ変わりなさい
そして僕のこの思いを伝えておくれ
サラサラサラ~
(風にふかれて葉が一枚
くるくる回って落ちていきました)
くるくる
くるくる
ぼとっ
「ポロッオ ポッポッ」
違う違う!
ポロッオ ポッポッじゃない
ポロッオ ポッポッ鳴くハトなんかじゃないよ
(ハトは驚いて飛んで逃げていきました)
鳥にはなってくれた
近いぞもう少しだ。
スズメはハトより可愛くてかしこい
イメージ
イメージ
スズメのかしこいイメージ!
てっぺんの葉っぱよ
魔法の風にふかれて離れ
くるくる回って
落ちたときに
可愛らしくかしこい
スズメに生まれ変わりなさい
そして僕のこの思いを伝えておくれ
サラサラサラ~
(風にふかれて葉が一枚
くるくる回って落ちていきました)
くるくる
くるくる
ばたぁ
「ミァオー クォクォクォクォ」
違う違う!
ウミネコじゃない
ウミネコは、ずるがしこい鳥じゃないか!
それにデカくて怖いよ
もー
おまえなんかは
そこらの絵描きの靴でも食べていろー
(ウミネコは目をギラッと光らせて飛んで行きました)
あ~あ
やっぱり夢か
サラサラサラ~