「大浦天主堂と祈念坂」 透明水彩画 長崎 A3(420×297) 2017年作 個人蔵
大浦天主堂は長崎を代表する観光名所のひとつで、いつもたくさんの観光客でにぎわっています。
江戸時代幕末の1865年に建立され、1879年に大規模な増改築を実施して、いまの姿になったそうです。
正式名は日本二十六聖殉教者堂といいまして、
日本におけるキリスト教徒の悲しい歴史に捧げられて建てられました。
にぎやかな大浦天主堂前の小広場から
左手の狭い歩道を50mほどすすむと分岐があり、
そこで右折すると階段になって祈念坂となります。
さっきまでの小広場のにぎやかさが嘘のように静かになり
観光客もまばらにしか出会いません。
私はこの不思議と落ち着く坂道がとても気に入りました。
遠藤周作も祈念坂が好きだったようで、よく座って眺めていたそうです。
坂には小さな看板がありまして
「あなたはなにをいのりますか」
と書いてあります。
私だったらここでなにを祈るだろうか・・・・としばらく考えていますと、
大浦天主堂の大きな窓のステンドグラスが
不思議と目のように見えてきて、
私の小さな心を隅々まで見通されたような気がいたしました。
そして大浦天主堂は
「怒られたのだろうか
失望されたのだろうか」
と、不安で恥ずかしい気持ちになりましたが、
見てくださるということは
愛情をかけてくださっているということなので
なんともありがたく
感謝の気持ちでいっぱいになりました。
そういえば
天王寺動物園に2頭の若いアミメキリンがいてるのですが、
とても仲良しのカップルで、園内の人気者です。
このスケッチのモデルは雄の幸弥(こうや)くんで、
ハンサムな大きな顔にまつ毛の長いやさしい目をゆっくり動かし
いつも周りをよく観察していました。
でも時折、
きっといつか大好きな恋人との間に産れてくる赤ちゃんが
健康で元気でありますようにと
未来に向かって
祈っているように
見えました。