ろくびー

山中清隆 作品日記
Kiyotaka Yamanaka

長崎の風景「大浦天主堂と祈念坂」2017年 水彩画

2018-11-30 20:37:58 | 長崎

「大浦天主堂と祈念坂」 透明水彩画 長崎 A3(420×297) 2017年作 個人蔵


大浦天主堂は長崎を代表する観光名所のひとつで、いつもたくさんの観光客でにぎわっています。

江戸時代幕末の1865年に建立され、1879年に大規模な増改築を実施して、いまの姿になったそうです。


正式名は日本二十六聖殉教者堂といいまして、

日本におけるキリスト教徒の悲しい歴史に捧げられて建てられました。


にぎやかな大浦天主堂前の小広場から

左手の狭い歩道を50mほどすすむと分岐があり、

そこで右折すると階段になって祈念坂となります。


さっきまでの小広場のにぎやかさが嘘のように静かになり

観光客もまばらにしか出会いません。


私はこの不思議と落ち着く坂道がとても気に入りました。

遠藤周作も祈念坂が好きだったようで、よく座って眺めていたそうです。




坂には小さな看板がありまして

「あなたはなにをいのりますか」

と書いてあります。


私だったらここでなにを祈るだろうか・・・・としばらく考えていますと、

大浦天主堂の大きな窓のステンドグラスが

不思議と目のように見えてきて、

私の小さな心を隅々まで見通されたような気がいたしました。


そして大浦天主堂は

「怒られたのだろうか

失望されたのだろうか」

と、不安で恥ずかしい気持ちになりましたが、


見てくださるということは

愛情をかけてくださっているということなので

なんともありがたく

感謝の気持ちでいっぱいになりました。


























そういえば

天王寺動物園に2頭の若いアミメキリンがいてるのですが、

とても仲良しのカップルで、園内の人気者です。


このスケッチのモデルは雄の幸弥(こうや)くんで、

ハンサムな大きな顔にまつ毛の長いやさしい目をゆっくり動かし

いつも周りをよく観察していました。


でも時折、

きっといつか大好きな恋人との間に産れてくる赤ちゃんが

健康で元気でありますようにと


未来に向かって

祈っているように

見えました。




イタリア風景画「アカデミア橋」ヴェネチア2017年 水彩画

2018-11-28 19:37:09 | ヴェネチア

「アカデミア橋」 透明水彩画 A5(210×148)2017年作 イタリア・ヴェネチア 個人蔵


アカデミア橋は1933年に仮設として架けられた木製アーチ橋でしたが、

あまり美しくて評判がよかったので、その外観の木製を残し、

鉄製の橋に架け替えられて今に至っています。


木製であることの軽やかさと、弓のように大きく湾曲したそのしなやかな姿が

大運河にじつにぴったりとおさまっていて、この場所になくてはならない存在となっています。


スケッチをしたのはCampo S,Vioという大運河に面した広場で、

ここから見るアカデミア橋が迫力があってかっこいいので、

近くを通れば足を運び、よくスケッチをしました。


「アカデミア橋」の別のスケッチはこちら


だれしも

憧れの人とか

憧れの思いとか

憧れの風景とかあると思うのですが、



このアカデミア橋にも

やっぱり憧れの人がいてまして、

ほんとは人ではなく運河のきらめく輝きなのですが、

アカデミア橋にとっては恋い焦がれている存在なので、

恋しい人になります。


一度でいいから、あのきらめく運河の輝きにふれてみたい

一度でいいから、あのきらめく運河の輝きに手を入れてすくいあげてみたい

手の中ではしゃいでくれるだろうか

手の中で輝いてくれるだろうか


いつもそんな思いで見つめて

ものすごく身近にいてるのですが、

どうしてもふれることはできないのです。


なぜならアカデミア橋は、橋の使命として、

その自慢んの長い両足を両岸にまたいでふんばっていますし、

その自慢のたくさんの手は、人が落ちないように手すりとして全部上に向かって伸ばしていますから

まったく四六時中、手足を出せずに自由がないのです。


だからいっそ

くちて落ちてしまえば、運河のきらめく輝きの中へ飛び込めるではないかと思ったりするのですが、

がんらい丈夫にできていますし、みんなに修理され、感謝され、大事にされていることを

けっして忘れませんから、やっぱり今日も橋として頑張っているのです。


運河はそんなアカデミヤ橋の切ない思いを知ってか知らないでか

今日もキラキラと輝き

休むことなく流れ

いろんな物語を運んでくれています。






















そういえば

先日、動物園で見た

クロエリセイタカシギが


自慢の長い足をかわいらしく伸ばし

自慢の黒い翼をほんの少し広げて


キラキラと輝く子どもたちの目に映り

愛らしく見せてくれていました。


イタリア風景画「みんなが笑った」ヴェネチア2017年 水彩画

2018-11-23 19:10:24 | ヴェネチア

「みんなが笑った」 透明水彩画 A5(210×148)2017年作 イタリア・ヴェネチア 個人蔵

この絵は2017年にサンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会(奥の白く丸い屋根の建物)を

アカデミア橋の上から描いた作品で、2枚描いたうちの2枚目です。


1枚目の絵はこちら




笑えるって楽しいことですね。


みんなで笑えたらもっと楽しいし

それが自然であたたかなものであったなら

不思議な力と繋がっているような気がします。





いつもの騒がしいアカデミア橋の上からスケッチしていたときのこと

風が止んだかのように急に静かになって、

それからみんなが笑い出しました。


その笑いの理由はさっぱり分からなかったのですが、

みんなが船をじっと見ていて

それからあたたかい空気に包まれだしたので、

きっといい笑いだったに違いありません。


その船は何事もなかったように通り過ぎまして、

またもとの賑やかで騒がしい世界にもどりました。



そして今日も

サルーテ教会はこの平和な風景を

後ろからにっこり笑って見守っています。
















そういえば

動物園のワライカワセミの笑い声が聴きたくて

スケッチをしながら

笑顔のメッセージを送ってみたりしています。


今のところ

私の笑顔が不自然で寒すぎるのかして

うんともすんとも

笑ってくれません。






イタリア風景画 「みんなおすまし」 ヴェネチア2017年 水彩画

2018-11-18 19:58:02 | ヴェネチア

「みんなおすまし」 透明水彩画 A5(210×148)2017年作 イタリア・ヴェネチア 個人蔵


この絵はヴェネチアの玄関にあたるサンマルコを、友人のペアーさんの船に乗せてもらって、

ゆっくりと波に揺られながら進み、通りすがりにスケッチをして描いた作品です。



普段のサンマルコはもっとヤンチャでおしゃべりなのですが、

私が描こうとしていることに気づいたのかして、みなさん急におとなしくなり、

そして上品なおすまし顔になりました。


やっぱりきれいに描かれたいと思う気持ちは誰しも同じようで、

サンマルコもそうでしたし私だってそうですからね。



その時のサンマルコのおすまし顔がこの絵になっています。



けれども私達の乗った船がサンマルコから遠くにはなれてしまったころ

またいつものガヤガヤとしたおしゃべりが始まり、

なにやらゲラゲラ笑って愉快にやっていました。








そういえば

こないだ動物園でスケッチしたライオンたちは

ラッキーなことにみんな起きていて、

私が描こうとしていることに気づいたのかどうかは分かりませんが、

手を振る幼稚園児たちにキャーキャーとはやされ、

ちょっとにらみの利いた目で

上品なおすまし顔に


なっていたように思います。


「時計塔のある広場」イタリア・ヴェネチア2017年 水彩画のご紹介です。

2018-11-03 19:08:47 | ヴェネチア

「時計塔のある風景」 透明水彩画 A5(210×148)2017年作 イタリア・ヴェネチア 個人蔵




この作品はヴェネチアのサンティ・アポストリ広場に架けられた橋の上から

サンティ・アポストリ教会の鐘楼を描いた作品です。



鐘楼にはロマンチックな丸い時計が付いていまして、

文字盤の真ん中にある太陽が四方八方に手を伸ばしてグルグル回っています。

1本長い手があるので、おそらくそれが現在時刻だと思います。



私は時計やスマホを持ってないので、時刻を知りたいときは分からなくて困るのですが、

街に時計塔なんかあると、その時計を見に足を運ぶし愛着もわくしありがたいですね。



この鐘楼が見える橋の上でスケッチをしていた時のこと


ゴーゴー響かせながら、

絵にも描いた水色の運搬船が勢いよく自慢気に広場へ横づけしました。


船は見慣れない形のピカピカの最新で

異常にパワフルできびきびした動きに自然に目を奪われます。


船を運転していたのは、

マッチョでイカツイお兄さん!


派手に現れた船とお兄さんに、

人も建物もみんな釘づけ。


あたりの視線を一身に集め

そうでなくちゃと言わんばかりにワインの荷卸しをカッコよく始め、

さっさと運んで、またゴーゴー響かせて風のごとく去っていきました。

カッコイイ~




鐘楼さんも

みんなが時間を気にしてちょくちょく時計を見上げるものですから

その視線を四六時中感じちゃって

いつも僕を気にして見ててくれてると思ってるのですよ。


そして、かってにご機嫌になって

お礼にみんなを大事に見守ってくれています。











そういえば

通天閣にも大きな電飾時計がありまして(たまに消えてて困る)、

私もよく見上げて時刻を確認しているのですが、


おそらく

天王寺動物園のチュウゴクオオカミやらフンボルトペンギンやらも

ごはんまだかな~って

通天閣の電飾時計をたまに見上げながら心待ちに待っている


ような気がしました。




「こんにちはヴェネチア」イタリア・ヴェネチア2017年 水彩画のご紹介です。

2018-11-01 19:10:46 | ヴェネチア

「こんにちはヴェネチア」 透明水彩画 A5(210×148)2017年作 イタリア・ヴェネチア 個人蔵


この絵はサンマルコ広場を海側から描いた作品です。

大きい塔がサンマルコの鐘楼

その右の丸いのがサンマルコ寺院の屋根

そして真ん中のピンク色のおっかない建物がドゥカーレ宮殿です。



ヴェネチア共和国時代はここが正面玄関でして、

政治の中心でもありヴェネチアの顔でした。

当時ここへ訪れる人々は、船の上からさまざまな思いでこの風景を眺めたのでしょうね。

そして、敬意を払い丁寧に挨拶をされたのだと思います。


ドゥカーレ宮殿がブルドック顔で牙をむき出しにして、にらんでいますから

けしからん奴は見逃しませんよ!



そして時代が移って人が変わり

この風景の主人公たちは本当の使われかたをしなくなり

寂しく役目を終えたとしても

その当時の人々の、挨拶を通して見た瞳の中で輝く何かを忘れずに、

今でも誰かが挨拶してくれるのを待っていますし

そしてなにより皆にむかって「こんにちは」と話しかけています。









そういえばこないだ動物園で見たマレーグマの雄のマーズと雌のマーサは

下向いてペタペタゆかいに歩いていましたが、

周りの様子はよく見ているようでした。


おそらく、

マレーグマさんに町中でばったり出会ったとしても

下向いてるからって挨拶しないで通り過ぎたら

「けしからん!」って急に立ち上がって怒られそうなので


ご注意ください ませ。