ろくびー

山中清隆 作品日記
Kiyotaka Yamanaka

大運河とバボレット

2017-12-25 12:37:06 | ヴェネチア

「大運河とバボレット」 透明水彩画 A5(210×148)2017年作 イタリア・ヴェネチア 個人蔵
※会場内撮影のため、作品のイメージが少し違うかもしれません。



今日ご紹介いたしますのは、
イタリア・ヴェネチア、Kokonton Galleryにて2017年に発表させていただいた思い出の作品です。


この絵はアカデミア橋の上から大運河とバボレット(水上バス)をスケッチして描いた作品です。

この橋の上からだと大運河を高い位置から大きく見渡せますし
素晴らしい建物がぎっしりと運河沿いにひしめいているものですから
訪れた者に時代を超えたいろんなドラマを見せてもらえます。
当然、旅行者にも大人気でごった返していますが、私も大好きな場所なんです。
以前に紹介させていただいた「トトロの木」もここからスケッチして描いています。




写真の上側の木製アーチ型をした大きな橋がアカデミア橋です。

大運河もやはり運搬船やタクシーでごった返していますが、
ときおりチャポチャポと波の音しか聞こえなくなって、
まるでキツネにつままれたかのように静かになることがあります。

そのときがまたとても面白いのです。


たとえますと

クリスマスの夜の賑やかな繁華街で大停電になり、
静かになって見上げて見たら、突然満天の星空が現れていたような

出店のタコ焼きを買って静かに食べていたら、
さっき店員が食べていた栗の皮が突然具の中から現れたような

ドライブ中、周りの車がやけにスピードを落としだして静かになった矢先、
突然オービス(自動速度取締機)が現れたような


静かになったそのとき
緊張感が自然と上がって

何かが見えたり
何かを感じたり

普段と違う
人それぞれの
何かに出会って
面白い。

絵のイメージも
きっとそんなときに
いただいているような気がします。


ときおり静かって
いいな~

緑のある教会

2017-12-24 15:49:32 | ヴェネチア

「緑のある教会」 透明水彩画 A5(210×148)2017年作 イタリア・ヴェネチア 個人蔵
※会場内撮影のため、作品のイメージが少し違うかもしれません。


今日ご紹介いたしますのは、
イタリア・ヴェネチア、Kokonton Galleryにて2017年に発表させていただいた思い出の作品です。


ヴェネチアのサンマルコ側からリアルト橋を渡ってザッテレに抜ける右側の狭い路地を進みますと、
心地よく開けた運河沿いの道に出ます。

そこには古くて渋いバーカロ(立ち飲みバール)があって
店の中のショーケースには、ご機嫌にワインが飲みたくなるような酒の肴がぎっしり用意されています。



せっかくですからその素敵なバーカロでワインと肴を楽しんでもらって気持ちよくなったらころ、
もう少し運河沿いを歩いていただくと、この絵の素敵な場所に出ます。

向かい側には白いChiesa dei Santi Gervasio e Protasioという教会がありまして、
その広場の隅の小さな一画に、公園とまではいかないのですが芝生のような緑があって、
木が数本植えられていて、だれかが置き忘れたかのような井戸がぽつんと一つあります。

入り口とかベンチとかありませんし
だれのための庭なのか
みんなのための庭なのかもよくわからないのですが、
緑を残してくれていることが嬉しくて好きでこの絵を描きました。


バーカロのワインと肴でご機嫌になったころ
もしかすると風景のおしゃべりが聞こえてくるかもしれませんよ。

ほら
その庭の右端の木がなにやら話しています。



いや~
今日も一日楽しかったな~

じつは俺、ミミズを5匹飼っててね。
ほら、こないだデカいクロダイを釣って大はしゃぎしてたアレックスさんが、
釣りの餌のミミズを俺の足元に忘れてったんだよ。

えっ
アレックスさん知らないの?
このあたりじゃ釣り下手で有名な人だけどなー

まあいいや
それで、そのミミズが可愛そうだから俺の足元の土中に入れてやったらね、
足の裏をコチョコチョこちょばすんだ。
ときおり笑いそうになるし、それでも我慢してたら血の巡りが良くなってさ
なんか調子よくて楽しいんだ!

でもオケラに見つかったらミミズは食べられちゃうから
しばらくのあいだだけだと思うけど、
まあどうせ魚に食われる運命だったんだからいいやね。


えっ
俺だけうっすら運河に映ってるって?

ほんとだ
俺だけうっすら映ってる。

ミミズで血行よくなって
美肌効果が上がって葉っぱが光ってるってこと?

・・・・

すみませーん
どなた様か、私の足元に住んでるオケラを追っ払ってやってくださいませんでしょうかー

オケラを
追っ払ってやってくださいませんでしょうかー

せっかく助けたミミズが
ミミズが食われてしまわないようにー


ああ
神様

美肌でいたいよ~

呼子の港町とナベヅル

2017-12-23 14:31:36 | 佐賀

「呼子の港町とナベヅル」 透明水彩画 佐賀 A3(420×297) 2017年作 個人蔵


今日ご紹介いたしますのは、
九州スケッチ旅行の思い出の作品です。



佐賀県の唐津から海沿いに上っていくと加部島に挟まれた呼子の港町があります。

小さな港町ですが、とても新鮮な生きたイカを食べれることで有名だそうで、
あちこちにイカが干してありました。

残念ながらそのことを知らず、またお腹をこわしていたので食べていません。

港町から少し離れたところに展望公園があったので登りましたら
素敵な呼子の町がまじかに見えたので、これはありがたいと気に入ってスケッチをいたしました。

昼からでしたが、木の陰もあってとても心地よかったです。

少しはなれたところで波が打ち寄せて砕けるあのザバーっていう音や、
船が見えたあと、遅れて聞こえてくるディーゼルエンジンのドッドッドッとなる音なんかが
とてもここちよくて、スケッチならではの喜びを楽しみました。

頭の上のけっこう近くの距離から、どこか聞き覚えのあるような、
でも聞いたことのない鳥の声がクワーガラララー クワーガラララーと、
突然どさりと落ちてくるように聞こえました。

見上げると大きな鶴の群れで、海からきれいなV字型の編隊で飛んできていて、
それから少し乱れながら呼子の上昇気流にのっかろうと旋回しているところでした。



クワーガラララー クワーガラララーなんていいながら
トンビみたいにくるくるまわって高くに上ってから内陸目指して飛んでいきました。

それはどうやらナベヅルの群れで、
今まさに日本への冬越しのために大陸から渡ってきているところだったのです。

そんな光景に出会えてとて嬉しく幸せです。

結局この日に3回ほどナベヅルの群を見ることが出来ました。
そして夕暮れに渡ってきたその最後の群れを絵に描きい入れています。

あまりにも嬉しくて興奮した私は、
その夜も翌日も、呼子でたまたま出会う人全てにそのことを話しましたら
誰も見たという人が無く、またここが上陸ポイントになっていることにも驚いていました。


私はそこで思いました。

このナベヅルのように

きっと
人の幸せや喜びもまた
どこかに不意に飛んできていて
そのことになんとなく気が付いて
それを見ようとした人にだけ

幸せとして
見えるものなんだろうな~





銀河丸

2017-12-22 15:10:00 | 長崎

「銀河丸」 透明水彩画 長崎 A3(420×297) 2017年作 個人蔵


今日ご紹介いたしますのは、
九州スケッチ旅行の思い出の作品です。


長崎県平戸の川内峠にススキの生えた面白そうな丘があったので、車を止めて上に登りました。
平戸あたりの入り組んだ海が一面に見えてとても気持ちのいいい場所です。
その入り組んで穏やかな海の上に、白く輝く見慣れない美しい形の船が停泊していました。
消防訓練のようなことをしているようで、思わずラフスケッチをして風景の中で楽しみました。




それから数日たって佐世保に着き、九十九島を見に展望公園へ夕方ごろ行きましたら
二人の男子学生さんが夕日を撮りに来ていたらしく、なんとなく話しかけました。

どうやら航海士になるために勉強している神戸の大学生で、
銀河丸という練習船で航海訓練中に佐世保港に停泊したので、休暇をとって佐世保観光しているところでした。
とても元気で明るく、未来への希望が体中から光り輝いているように見えました。

学生さんは
「ぼくたちの銀河丸はあの白い船だよ」と言って佐世保港に停泊中の
一際白く輝く船を指差して教えてくれました。

見ると先日平戸でラフスケッチをしたあの見慣れない白い船です。

私は思わず、
「あのふねか!先日たまたま君たちの船を平戸の丘の上から見かけて、
とてもカッコよかったから描いたよ」
と言ってスケッチを見せましたら、
あまりのラフスケッチさに学生さんたちは「がっくり?」な感じだったので、
そこで私は「せっかくだから明日は佐世保港に行ってちゃんとスケッチするよ」
と約束いたしました。

そんないきさつで描いた作品なんです。


私はこの船を描いて思いました。


銀河丸は未来の夢をたくさん乗せて
誰もいない大海原に出て行き
夜、真っ黒になって怖いぐらいの海の上の
大きな波の山に揺られながら
満天の星空の中を進んでいきます。

ここがはたして海の上なのか
夜空の上の銀河の中なのか
さっぱりわからなくなったころ

不安や夢や希望がいりまじった
まだ可愛らしい星のたまご達を
銀河の中の光り輝く星達と同じように
いとおしく大切に見守っていて、

その彼らの新鮮な思い出と無限の銀河が合わさって、
昼の眩しい太陽の光の中でさえ
光り輝く白い船体からうっすらと透けて、

なんとなく見えるような気がいたしました。

五つの橋と雲仙岳

2017-12-21 20:30:00 | 熊本

「五つの橋と雲仙岳」 透明水彩画 熊本 A2(594×420) 2017年作


2017年12月21日、今日からほの国百貨店「冬ガラスとピクチャー展」始まりました。

2016年の九州スケッチ旅行の作品を展示させていただいております。

今回、案内状に使っていただきました作品のご紹介です。


■「五つの橋と雲仙岳」

熊本県の天草諸島に架かる天草五橋(天草パールライン)と雲仙普賢岳を
高舞登山(たかぶとやま)から描いた作品です。

ここはとても見晴らしよく天草諸島の気持ちのいい風景が眺められる場所で、
11月の後半でとても寒かったのですが描かずにはいられませんでした。

1号橋(天門橋)はずっと右側にあって描き入れれなかったので、
ひときわ目立つ偉い坊さんの頭のような形をした小さな樋合島(ひあいじま)に架かる
また小さな樋合永浦橋(ひあいながうら)を描いて五つの橋になってもらっています。

ちなみに左からが5号橋で順に
松島橋、前島橋、仲ノ瀬橋、大矢野橋です。

天草五橋は島をまたいで五つも連続して橋があるので
実際に車で走ると突然ダイナミックな海の上になったり、
また島の中を走っていたりと変化に富んでいるものですから
まるで天狗にでもなって島をピョンピョンと飛び蹴って渡っているようでした。


絵を描いてみて
橋が何か思いをもっているとしたら
こんなふうじゃないだろうかと
ふと想像してみました。


天草五橋の中で特に仲良しの
前島橋が話しかけて
仲ノ瀬橋が答えています。

「今日もいい風が足の隙間を通ったね!」

 「ああそうだなー」

「今日の雲仙岳はご機嫌だったね。」

 「ああそうだな~」

「俺たち人気者だね」

 「ああそうだなー」

「車がひっきりなしに走っていくし
船だって僕たちの下を渡っていくし
人気者っていい気分だよな!」

 「そうだなー」


「僕たちが実は島と島の手をしっかりギュッと握って
一生離れられない大切な仲良しになってるって
知ってるのかな?」

 「どうだろうな~」

「ちょっとやそっとの嵐ぐらいじゃ離れないし
壊れるような関係じゃないことがうらやましいのかな~」

 「そうだな~」

「きっとそのことをあやかりたくて
だから僕たちの腕の上を車で走ったり、
船で下から覗いたりしてうらやましがってるんじゃないだろうか?」

 「そうかもな~」

「にっこり笑って
手を差し出して
握手するだけなんだけどなぁ~」


 「そうだな・・・・」




サルーテ教会と赤い邸

2017-12-03 21:41:34 | ヴェネチア

「サルーテ教会と赤い邸」 透明水彩画 A5(210×148)2017年作 イタリア・ヴェネチア 個人蔵
※会場内撮影のため、作品のイメージが少し違うかもしれません。


今日ご紹介いたしますのは、
イタリア・ヴェネチア、Kokonton Galleryにて2017年に発表させていただいた思い出の作品です。


語学が苦手な私がお話しすることではないのですが、
イタリア語のすべての名詞には性別がございまして、男性、女性名詞があります。
大方は語尾でわかるようになっていて、oが男性形、aが女性形です。

名詞に性別のイメージを持っているなんて
なんともロマンチックな言語ですね~

話しは変わりますが
絵にもなんとなくですが性別を感じることがあります。


たとえばですが
私のような絵描きが
ヴェネチアさんというお嬢さんのことが大好きになったとして

いつもいつも
何をしてたって
どこにいたって
朝から晩から夢の中まで
そのお嬢さんのことで頭がいっぱいだったとして
そのお嬢さんの笑顔のためなら
何だってするぞと熱く誓ったりして
その誓いに自らニヤけてたりして
それぐらい人生の中心にいる大切な人だったとしたら


ヴェネチアの風景は
きっとこんな風に見えてしまってるのではないだろうかと

この絵が出来上がったときに

ぽつんと

思いました。


ほの国百貨店「冬ガラスとピクチャー展」のご案内です。

2017-12-02 19:15:00 | 作品展案内


ほの国百貨店「冬ガラスとピクチャー展」のご案内です。



愛知県豊橋市のほの国百貨店にて「冬ガラスとピクチャー展」に出品させていただくことになりました。

会期/平成29年12月21日(木)→12月27日(水)
会場/7階美術画廊 
営業時間/10時→18時30分
(最終日16時閉場)

ほの国百貨店
住所/愛知県豊橋市駅前大通2丁目10番地
TEL/0532-54-1211(代表)
営業時間/全館10時→18時30分

今回は九州スケッチ旅行の作品を展示させていただきます。

可愛らしく素敵なガラス作品との共演で
とてもあたたかい空間になるのではと楽しみにしております。
ご都合がつきましたら、是非お立ち寄りいただければ幸いです。

※12月27日は在廊予定にしております。