ろくびー

山中清隆 作品日記
Kiyotaka Yamanaka

イタリア風景「サンジョルジョ」ヴェネチア2018年 水彩画のご紹介です。

2019-03-25 19:21:39 | ヴェネチア

「サンジョルジョ」 透明水彩画 A5(210×148)2018年作 イタリア・ヴェネチア 個人蔵


2018年の夏、

税関跡の岬よりサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会をスケッチして描いた作品です。


ヴェネチアで一番好きなのは何ですかと問われると

迷わず答えれるのが、サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会です。

名前が長いので私は親しみを込めてサンジョルジョと言っています。



午後からあちこち出歩いて、夕暮れにスケッチが終わって

一人ぼんやりと税関跡の岬に立ってサンジョルジョを眺めていた時のこと


なんだか

サンジョルジョの建物がぶつぶつと話しているような気がしてきまして、

耳を澄ませば澄ますほど

波の合間にまぎれて、こちらまで運ばれくるようで、

とぎれてはいますが

たしかに

会話している話し声のようでした。


何を話しているかは分かりませんが、

心地よい響きの音楽のようで、あたたかく愉快な気持ちになりました。








仕事が終わって肩の力が抜けた時など

どこからか吹いてくるやさしい風に運ばれて

心地よい音や、ひそひそとした話し声が耳に入ってきたことはありませんか?


それはきっと、不思議な世界とあなたが繋がっている瞬間かもしれません。


なにかに一生懸命になっている人は、だれにも見えない素敵な光が出ていたりするもので、

きっとその光が不思議な世界にまで届き、現実との境界線の鍵を開けるのでしょうね。


そして、その不思議な音や話し声は


あなたを心の底から喜ばせたり

ほんとうに勇気付けてくれたり

ひらめきの光を導いてくれたり



いいことばかりです。





ほら

この建物だって大きな口を開けて

おしゃべりしていますよ。



何をおしゃべりしているかですって?

ちょっと

覗いてみましょう






ほらねぇ

聞こえるでしょ♪






イタリア風景「雲がくる」ヴェネチア2018年 水彩画のご紹介です。

2019-03-17 20:26:32 | ヴェネチア

「雲がくる」 透明水彩画 A5(210×148)2018年作 イタリア・ヴェネチア 個人蔵



2018年の夏、

ヴェネチアからジュデッカ島行きの船に乗ってZitelle近くでスケッチして描いた作品です。

左側がサンジョルジョ、真ん中の水色の船(沿岸警備隊)が停泊している右側がジュデッカ島になります。

右端の赤い建物はChiesa di Santa Maria della Presentazioneというカトリック教会です。



朝、目覚めたばかりのひんやりとした雲一つない澄み切った空は

ほんとに気持ちがいいものですね。


幸運にも、その清々しい空を見上げた人は

気づかないうちに心晴れやかな気持ちになりますし、


しばらくすると

少し良いことを思いついたり

なんだか笑いたくなったり

だれかに微笑んでみたくなったりしますから


やっぱりこれは

空からの素敵なプレゼントに違いありません。



ヴェネチアのサンジョルジョも

沿岸警備隊の水色の船も

ジュデッカの木や教会だって

同じように空からの青いプレゼントを眺めて

しみじみと心晴れやかになっていました。


そして、つい誰かが

「雲が無い青い空は綺麗だね」

と言い出して

「そうだね」

「雲一つない青い空は綺麗だね~」

なんてみんなで同調して話しだしました。


すると、

後ろからもくもくとした大きな雲が、ご機嫌にやってきて

みんなびっくりして顔見合わせてモヤモヤしちゃって


何も知らない大きな雲が

「どうしたんだ! なにモヤモヤしてるんだい」

と心配になって声をかけてくれたんです。


みんなはますますモヤモヤしちゃって

ジュデッカの教会なんかは顔が赤くなってしまいました。


返事のないまま

ご機嫌な大きな雲はそのことを気にもせず

ゆるやかな風に吹かれながら

楽しそうにみんなを空から眺めてくるくる回り


やがて

ちりじりになって、小さな雲の集団となり

遠くの青い空の中に消えていきました。











はじめは立派な大きな雲だったのに、

風に流されながら

だんだんこまぎれて、小さくなって消えていく

また現れては消えていく


まるでつかみどころのない、無邪気な感情を表現したような不思議な存在ですね。








突然の予期せぬ来客さんに驚いて、どぎまぎしたことはありませんか?


大運河に入ってくるはずのない大きな帆船が、アカデミヤ橋手前で停泊していました。

ビックリしたし、とてもかっこよかったです。


それもそのはず

この日は9月最初の日曜日で、

ヴェネチアのRegata Storicaというゴンドラのレース祭りの日でございました。

大運河でのレース観戦を

この船から楽しく見るのだろうな~



イタリア風景「サンジョルジョと島と空」ヴェネチア2018年 水彩画のご紹介です。

2019-03-16 20:12:20 | ヴェネチア

「サンジョルジョと島と空」 透明水彩画 A5(210×148)2018年作 イタリア・ヴェネチア 個人蔵



2018年の夏、

ヴェネチアの南東、水上バスのGiardini Biennale乗り場付近よりスケッチして描いた作品です。


部屋にこもって絵ばかり描いていると、いろいろ調子が悪くなるので、

朝早く起きれたときはジョギングをしてヴェネチアの風景を楽しみました。


走りながら見る風景は視点がひょこひょこと動いていきますので、

変化に富んでいて見ていて飽きません。


この絵の風景もそのジョギングコースの中にあって

薄暗い空から明るい朝に変わるシーンを何度も走りながら見ましたね。




おもたい雲が空一面にかかっていたりして

みんなの目覚めに合わせるように

遠くの方の雲の切れ間から、うっすらと空が見え、

しらないうちに手前の雲が溶けるように無くなって、

目覚めたばかりの静かな空が顔を出し

やがてやさしい朝日に照らされると

どこからか「おはよう」という喜びの言葉があちこちから聞こえてきます。


そして

私もつられて

風景や目につく気に入ったものに「おはよう」と挨拶をいたしました。












島だって建物だって感情みたいなものが宿っていて

私たち生き物と同じように

挨拶や会話をかわして愉快にやっていると思うのです。



毎日、目覚めたばかりの風景を見て

ヴェネチアの島や建物たちはいったいなにを話しているのでしょうね。


今日の雲占いでしょうか?

それとも

昨日の夜見た不思議な夢の話でしょうか?

それとも

私たちの知らない、遠い昔からの大切な話なのでしょうか?



島や建物が微笑んでいるように見えるので

きっと

いいことに違いありません。









緑色の2隻の船は働き者のヴェネチアのゴミ回収船で、

白色のキャビンは天井のふたが開いて上下にスライドするので、

全高が低くなって(そのかわり船頭さんの顔は露出する)

そこそこ低い橋の下でも通過できる優れものです。




なんだか

お話に夢中になってて

楽しそうですね~


「仕事終わったら飲みにいこうね!」