「ドゥカーレ宮殿」 透明水彩画 A5(210×148)2018年作 イタリア・ヴェネチア 個人蔵
2018年の夏、
サンマルコ広場からオープンカフェ越しに見える海を眺めて、
左手に大きくドゥカーレ宮殿を描いた作品です。
ドゥカーレ宮殿は、いつも人で賑わっているサンマルコ広場に建っているので、
寂しくなることはないのですが、
たまには普段見ることができない静かな世界の住人たちと
ゆっくりお話ししたいと思うことがあります。
ドゥカーレ宮殿が目をつむってじっとしているようなときは、
おそらくそんな時です。
会いたいと心から望めば、すぐに静かな世界は現れてくれます。
目をつむって耳を澄まして心を静め、静かさをイメージし続けてください。
そして
気長にぼんやりとあたりを感じて待っているのです。
そうすれば
目が慣れたころに、うっすら見えてくるものがあります。
心が静まったころに、かすかに聞こえてくるものがあります。
それが
きっと
静かな世界の住人たちです。
見えたり聞こえたりしてくるのは静かな世界の住人たちですから
静かな気持ちになって周りに溶け込んで安心させてあげないと
すぐに消えていなくなってしまいます。
それから
あたたかく見つめてあげる気持ちが大事です。
そうすると
あなたは
そのやさしい内なる愛情の温もりで
ぼんやり光だし
その灯りでより多くの周りの世界が見えるのです。
この絵のドゥカーレ宮殿も
静かな世界の住人たちを
そのあたたかく見つめるやさしい内なる愛情の温もりで、
自らぼんやりと照らしだし
眺めてはお話を楽しんでいるのでした。
ヴェネチアではここ数年前から鳥事情に異変がおこっていまして、
スズメがどんどんいなくなっているのです。
原因は複数あるようですが、
私は、ここ近年ウミネコが増えてしまったことによるストレス説が一番の原因かな~と
思っています。
一昨年は、スズメを何回か目撃してはいましたが、
なんと!この異変に気が付きませんでした。
おそらく絵の制作がうまく進まずに追い込まれていて、
自分のことで頭がいっぱいだったのでしょうね。
昨年は到着後すぐに、「そういえば昔のようにスズメがいないな~」と気が付きまして
現地の人に尋ねましたら「近年スズメがいなくなった」と聞き驚いた次第です。
いなくなってから分かる寂しさには、取り返しのつかない悲しさがありますね。
そして
会いたいといつも思うようになり、
スズメがかつていた場所に目をやり
ヴェネチアのスズメとの楽しい思い出を何度もなぞり
鳥の声に敏感になったりして
ほんとにいなくなった切なさを味わいました。
でも、嬉しいことに
いつもそのことを心のどこかで気にして求めていると、
ヴェネチアで頑張っている数少ないわずかなスズメに出会えたのです!
騒がしい街の音から不意に「チュン」というかわいらしい声を聞き取れたり
サッと視界のどこかで横切る小さな鳥の姿にスズメの特徴を見て取れたりしました。
写真は私の視界の中をサッと横切ってバボレットに一瞬とまったスズメちゃん。
いてくれたことが嬉しくてパチリ。
こちらの写真は、家の上に鳩よけの棘をぐるりと巻いてある家で、
大きなウミネコもとまりにくいらしく、
そのせいか3家族ほどのスズメたちがこちらの屋根に巣を構えていました。
スズメだって
昔からいる
とても大切な
小さくてかわいらしいヴェネチアの
静かな住人です。