「ドゥカーレ」 透明水彩画 A5(210×148)2019年作 イタリア・ヴェネチア 個人蔵
ある夏の日
あんなに晴れててご機嫌だったヴェネチアの空が
急に暗くなってきて
ドラマチックな暗雲があちこちに現れ
怪しく張り詰めた空気があたり一面を覆い
カフェや商店のパラソルが急にたたまれて
みょうに冷たい風が下りてくると
もうそこまで嵐が来ていて
みんなびっくりして慌てて家に向かいます。
(私なんかは本気で走って帰ります)
そして
ヴェネチアの中心であるドゥカーレ宮殿は
鋭く目を光らせ牙をむき出しにして
腰を据えてあたりににらみをきかせてくれて、
悪いものから守ってくれているのです。
風が一呼吸おいた隙、
白い鳥が一羽、
急な斜面を見事に滑るスキーヤーみたいに
宮殿の目の前をうつくしく横切りました。
ほんの一瞬
ドゥカーレ宮殿は怪しい空のことなんか忘れて
白い鳥と一緒に飛んで遊びたくなりましたが、
そこは宮殿ですからぐっとこらえて
キリキリ牙を噛みしめ
思いとどまってくれました。
あぁぁ でも
宮殿のてっぺんにある白い飾りの柵が
我慢しきれなくなって
ペンギンが整列して順番に次々と海に向かって飛び込むように
先端まで順番に次々と歩いて迷いもなく飛んで行き
ワーワー言って楽しそうに遊びだしてしまいました。
気づかないのか?
うらやましいのか
もう止めようがないのかして、
少し苦笑いでしたが
ドゥカーレ宮殿は相変わらず空を見上げ
鋭く目を光らせ牙をむき出しにして
ヴェネチアを守ってくれていました。
今回は久々にドゥカーレ宮殿に入りました。
ドゥカーレ宮殿の大きな目(窓)の中は、
こんな大きな広間で沢山のでっかい絵が天井から壁から所せましと張り付けてあり、
あまりの豪華さに驚きました。
どこから見ていいのやら・・・・
ドッカーレ宮殿は
この豪華絢爛の凄い目でヴェネチアをいつも見守っているのですね~