1円携帯

かつて高価で、庶民には考える余地もなかった携帯電話。
その状況が一変したのが、一円で手に入る携帯電話の登場でした。

パソコンやオーディオ商品に並ぶハイテク民生電器の花形なのに、
その価格は破格。まさに異質でした。

その頃の私はと言うと、携帯電話の存在自体を否定していました。
もともと電話で話すことは好きではなく、外に居てまで拘束される
ようなものをありがたる由もありませんでした。

が、しかし。

携帯とインターネットを結ぶ仕組みが登場したのです。その最も
素晴らしきは電子メールを送信できる所にありました。

その日以来、携帯電話は当たり前のようにカバンのポケットだとか、
手のひらだとか、プードルの背中だとかにごろん、と転がっている
のです。

そんな携帯電話が壊れました。マイクが壊れているらしく、全く
会話が出来ません。修理するよりは前モデルを買ったほうが安い
ようです。

携帯から逃げ出すチャンスとも思いましたが、それは出来ません
でした、やはり。携帯というハイテク機器の後ろには懐かしい友達だとか
気の置けない友人だとか、体温を放つ人間がいるのです。

どうせ変えるならと、キャリアも変えてみました。料金も少し安く
なるようです。それに、なかなか機種がスマートな点が以前の
キャリアと大きく違っています。

しかも、そんな素敵な機種が一円でした。外国のプロダクトデザイナーが
手懸けているだけあって、雰囲気がちょっと違います。高解像度の
カメラも音楽再生機能もないけれど、その姿形はご馳走です。

この新しいデジタルデヴァイスと、私は幾つの温かい日々を過ごして
いくのでしょうか。そして幾つの歌を打ち込むのでしょうか。

新兵器

世界がイギリスに続くエジプトのテロに震撼している昨今。
常識が非常識に変わり、非常識が常識に置き換わるような
不気味ささえ感じます。

そんな事はさて置き。

身近な侵略をさまざまな方法で撃退し、間接的ではあるものの
ヘッドクォーターの攻撃も行いました。

しかし、一向に侵略は止まず、このままでは我が家を
乗っ取られてしまうのでは？という危機感を感じずには
いられません。・・・巣穴に連れられて、シジミ蝶の
ように、彼らの家畜にされるなんて考えると背筋に厭な
嫌悪感を感じずにはいられません。

これ以上攻撃しても、埒があかないのは明白です。そこで、
彼らが先行部隊の残したソナーを頼りに侵略を繰り返すという
習性に着目、新兵器を導入する事にしました。

この新兵器は敵部隊の設置したソナーを無効化、しかも
生体には無害という、非常に人道的な兵器なのです。
しかも安価で調達しやすく、使用方法も簡単です。

彼らの侵攻ルートに沿って、散布するだけです。

黒い部隊に恐怖を感じている方は、是非に試される事を
オススメします。まさか、というものが役に立つのです。

http://www.rakuten.co.jp/secretcare/453482/549015/#523197

麻

私は麺が食べたい。

そんな気分でデパ地下をうろうろして、今宵私の食事となるものを
探していました。母が外出しているため、私は慣れぬ包丁と
戦わなければなりません、夕飯前に。

ついでに、ほんのついでに紳士服売場を覗いたんです。
ええ、本当のついでに。

以前より目を付けていた、麻のシャツが半値になっていました。
白の、涼しく清潔そうなシャツ。

日本の夏は凄まじいけれど、案外短いものなのです。
買って着ても二ヵ月。それと着続けることによる麻の風合いが
増すこと。夏は今年だけではありません。来年も再来年も
続くのです。

天秤にかけ、考えます。

来年も、暑くなるでしょう。でも、紙袋で連れ帰る、このシャツが
あれば大丈夫。

今日の出来事

人民元２％切り上げ　複数通貨との連動制へ移行 (朝日新聞) - goo ニュース

今まで不当ともいえる安値に固定されていた人民元が部分的とはいえ、
実情に合わせて変動するようになりました。今すぐに何らかの影響
（為替や株価など投機的な面があるものを除いて）がすぐに出るとは
考えにくいですが、振り返ればあるターニングポイントになるのでしょう。

ロンドン地下鉄３駅とバスで爆発か (読売新聞) - goo ニュース

2週間前の出来事の恐怖も消えない内に。

全容は不明ですが、全容がわかったときにはあらゆる物が変わりきって
しまった後かもしれません。


あと、ワタクシ的ですが自転車の鍵を無くしました。後輪に巻きつけておいた
チェーンの鍵。

人民元やテロが頭の中にいながらも、さらに場所を占めているのは自転車の
鍵の事と、もし見つからなかったときの対応。もし自転車が撤去されてしまえば、
私の生活ペースはガラリと変わってしまいます。

あれも、それも、今日の出来事。

a VISION thief

空想癖の話の、その最後。

もっとも頻繁にするのが、「傍にいる人の視界を奪う」こと。
別に目隠ししたり目潰ししたり、そういうことではなく、その人が
今見ているであろう物や人を想像する事です。

例えば大きな一枚ガラスが表通りに面している、そんなカフェで、
女の人がぼんやり外を見ている。その前を私が通ればきっと、その
人の視界には私が入り、私が去っていけば車や自転車、未知らぬ
サラリーマンが次に視界に入り、めまぐるしくいろいろな物が
彼女の網膜にスキャンされるのでしょう。

別にその女性が好きではなく、知り合いでもなく、本当に全くの
他人であっても、そんな事はお構い無しに「盗む」。

気が付いたら、もう考えているのです。
理由も無く、原因も無く。理性の下敷きになる、何かのレベルで。

予断ですが、短歌を作るときには短い映像を、頭の中で思い浮かべます。
短くて3秒くらい、長くて10秒くらい。ひらめきを感じた対象に対して、
思考をめぐらせ、映像にするのです。

それを文字に変えていきます。31文字に。それは短い映像へのコメントの
ようなものなのかもしれません。