黄色い拍子木

たまのをよたえなばたえねながらへば しのぶることのよわりもぞする

本が選べない

2008-10-26 23:43:41 | Weblog
ここ数年、こういうことに悩みます。

仕事の本は別として、読み物系の本が選べないのです。
書店の書架に陳列されたり、ひら積みされて視線を集める
話題書を目の当たりにして、私は圧倒されるのです。
そして空白。もうそうなってしまっては最後、何も選べ
ないのです。読もうという気力とか、読みたいという興味とか
一切合財が店内のざわめきに飲まれて、空っぽになって
しまった私だけがぽつねんと、ひとり。何も手にすることなく
書店を後にするのです。

余計な事を考えてしまうのです。この作品は面白いだろうか?
読んでいて失望しないだろうか? この人以外の作品を読んで
親和性を感じられなければ? とか、色々を。そんな事考えず
読めばいいのにね、と思うのですけれど。

最近、たまに行く古本屋に105円コーナーがあるのを発見しました。
入荷(買い取って)してある期日を過ぎたものがそこに並ぶよう
です。ハードカヴァーが105円という魅力もあり、それでも考え
なくてもいいような事の妨害がありつつも

・あしたはうんと遠くへ行こう 角田光代
・デッドエンドの思い出 よしもとばなな
・ファザーファッカー 内田春菊
・TUGUMI よしもとばなな
・ドライブイン蒲生 伊藤たかみ

この5冊を手に取り、会計を済ませました。よしもとばななは
リスクヘッジ。あとの三冊はスピキュレイション。

これらを1週間ほどで読み終えたのですが、久しぶりの
読書はとても刺激的でした。どの作品も新鮮で、手持ちの愛読書の
親和性ももちろん心地よいのですが、それとは違う爽快感が
ありました。ガスファンヒーターで創ったぬくもりと、五月の
風のような爽やかさとの違いみたく。でも、どちらも心地よくて。

やがて、また読書氷河期が来るのでしょうけれど、それまでは
短い間氷期を味わいたいと思います。
コメント
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