黄色い拍子木

たまのをよたえなばたえねながらへば しのぶることのよわりもぞする

1を2分の1で割ると2になる

2009-04-04 09:04:25 | Weblog
会社での会話から。

同じプロジェクトの後輩は今年、内定者対象の入社前懇談会のメンバーを
しています。その場で彼女が内定者から聞いた話ですが、ある会社の面接で

「小学校低学年の子供に『1を2分の1で割ると2になる』事を理解させるには
どうすれば良いか」

という質問があったそうです。四則演算も分数も、その両方を利用した計算も
理解している状態にあれば当然そうなるものと思いますが、この事を知らない
人に説明する、つまり説明能力を見るための質問ではないかと思われます。
(その某企業を考えると、この質問はとんだ『役不足』だと思うのですが。
だって、ねえ・・・)

なんだか、そんな質問もあるんやね、で終わらせるのが勿体ない気がして、
私自身でも考えてみました。

これを式で書くと「1÷1/2=2」となります。この式は要素「1」と「÷」と
「1/2」と「=」と「2」で構成されています。小学校低学年がどの程度まで
知っているかという前提がありませんが、四則演算と自然数は知っている
ものとします。

そうすると要素の中で説明が必要な要素は「1/2」という分数になります。
「1/2」は「1を2で割ったもの」です。つまり「1つのものを半分にしたもの」を
表しています。

「1ホールのケーキを半分にすると、1ホールのケーキ半分の大きさの
ピースが2つ出来ます。このピース一つが1/2の状態」と言う言い方で、
これで「1/2」が何かを理解して貰えるでしょうか。

では、要素の説明が終わったので、要素で構成される式「1÷1/2=2」を説明
します。先ほど要素「1」を「1ホールのケーキ」で例えたので、相手には
「1」は「1ホールのケーキ」と言うイメージがあると思われます。ですので、
式は
「1ホールのケーキ÷1ホールのケーキ半分の大きさのピース=1ホールのケーキ
2つ分」…うーん、何かがおかしい。ケーキが増えてしまいました。
いや、おかしくは無いんですよ。だって「1÷1/2=2」ですもの。でも、うーん。
聡明な子であれば、この矛盾に気付きそうです。割れば割るほどケーキが増えて
行きます。質量保存の法則に反しています。

多分、要素「1」を「1つ」としている事に問題があるのでしょうか。
では要素「1」を「1単位」や「1パッケージ」としてみます。

パッケージはいくつかのモジュールで構成されています。
1パッケージの中にはモジュール1..モジュールnが存在しています。これを
小学校低学年の子供がわかるものに置き換えれば…玩具?お菓子?ゲーム?
多分なんでも良いと思うんですが、私が子供の頃に好きだった物、LEGOに
してみます。1箱の中に、LEGOの8ドットのブロックが2つ入っています。
(子供の「そんなん売ってへんわー」攻撃は無視します。シャラップ!)

ここで要素「1」はレゴの箱として、箱を開けるとブロックが2つ。
この中身の半分はブロック1つ。これが要素「1/2」とします。
(説明はTDLやUSJ風に)

そしていよいよ式「1÷1/2=2」です。これを「1箱の中にブロック1つはいくつ
あるか、それは2個である」と言い換えれば、どうでしょうか?子供は
納得するでしょうか?うーん、私自身、何かを誤魔化しているような気がします。
(やはり説明はTDLやUSJ風に)

うーん…。
(会社の面接レベルなら、これを噛まずに説明できればまあまあ合格では)

普通、「1個のもの(DSでもフラフープでもなんでも)を半分にできる?」と
子供に聞いたら「でけへんわ。そんなんしたらもう使われへんやん。
あほちゃう?」と「あほちゃいまんねん、パーでんねん」攻撃を食らってしまう
のがオチです。

普通1個のものを2で割ると、割れなくて、余り(MOD)が1出ます。
そう考えると要素「1/2」は「割れなかったものが1つある」状態とも言えそうです。
そんな風に説明した要素「1/2」で式「1÷1/2=2」を割ります。でも、そうすると
子供は「1個を1個で割ると1個」と判断しそうで、式「1÷1/2=2」の説明は
失敗してしまいそうです。

…某社、そんな質問を学生にさせる前に、ポンコツ事務機で中小零細から
金を巻き上げてんじゃねーよ、と申し上げたい。
コメント (6)
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