木村草太の力戦憲法

生命と宇宙と万物と憲法に関する問題を考えます。

審査基準と三段階審査(1)

2011-08-10 16:56:40 | Q&A 憲法上の権利
迷える子羊様から、次のようなご質問を頂きました。

 「急所」によれば、処分審査と法令審査ないし法文審査について、
 特に違憲審査基準を区別していないように思われますが、
 主として法令審査ないし法文審査という文面審査を念頭にされた
 違憲審査基準を処分審査にも適用しうるということでしょうか。

 もし、区別されないということであれば、「急所」における防御権の思考様式は、
 三段階審査に従来の違憲審査基準論を応用したように思えるのですが
 (「事例研究憲法」渡辺康行執筆部分151頁~152頁参照)、
 三段階審査を採用したことと関係があるのでしょうか。


はい。
まず、『急所』について非常によく理解して頂けているようで
とても喜ばしく思います。まことにありがとうございます。

では、前段と後段を分けてお話しさせて頂きます。

まず、前段。

ええ、私、芦部先生の『憲法判例を読む』、高橋先生の『憲法判断の方法』やら、
アメリカの判例やらを読んで、いろいろ勉強したのですが、
それらの文献を読んだ結果、まず

 文面審査というけれども、文面そのものだけを見ても
 違憲審査はできない!!

という結論に至りました。
(この点は、芦部先生も高橋先生も、否定されないと思います。)

で、文面審査って、普通言われるものってなんだろう、と考えます。

例えば、
「交通秩序を乱してはならない」という条例があって、
だ行進をした人が、無罪を主張し、最高裁まで争います。

最高裁は、こう言いました。

「この条例の法文が、
 通常のデモ行進にまで適用されるとすれば、確かに違憲であるが、
 この『交通秩序を乱』すとは、
 だ行進など、ことさらな秩序かく乱をいうと限定的に解せば、問題ない。
 よって、被告人は有罪。」

これ、文面審査の例だって言われます。

はい。でも、この論証って、途中式をはぶきまくっているのです。

ここで、少しお話しの学年をだだ下げまして、中学一年生。

 2(3+7)-3(4+2)
=2(10)-3(4+2)
=2(10)-3(6)
=20-3(6)
=20-18
=2

はい。途中式全部かくとこうですね。
でも、上の判例って、
 2(3+7)-3(4+2)=2
みたいな論証・・・。


そこで、上の最高裁の論証の途中式、全部書き出すとどうなるでしょう?

私がいきなり書き出してもいいんですけど、
お時間のある人は、ちょっと自分で途中式書いてみて下さい。

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