木村草太の力戦憲法

生命と宇宙と万物と憲法に関する問題を考えます。

目的が違憲?手段が違憲?

2012-06-19 07:00:05 | ちょっと一言
法科大学院の授業や学部ゼミでは、
「準備書面書くつもりで、この事案の原告側の主張まとめよ」
みたいな課題をといてもらったりするわけですが、
ときどき、うむむ、と思ってしまうことがありまして、ご参考までに一言。

こういう課題を採点する場合、
まあ、問題提起、論証、結論という流れがちゃんとできているかとか、
論点を拾えているか、キーワードが適切に使えているか、
ということが採点基準になるわけですが、
そして、これが採点基準になることは、
多くの人が理解しているわけです。


ただ、論証の試験に必要なことってそういうことに限られないわけで、
論証に神経が行き届いているか、ということが大事になってくるわけです。

例えば、ときどき目的手段審査をする中で、
1「この規制(法令又は処分)は目的が違憲である。
 よって、原告の主張は認容されるべきである。」とか
2「この規制は、手段が違憲であるから、原告の主張が通る」といった文章を見かけます。

ただ、目的手段審査をする場合、目的は正当だったり重要だったり不当だったりしますが、
それ自体が違憲ということは、意味はわかるけれども、厳密にはあり得ず、
「目的が不当である(重要でない)。
 よって、この基準に照らすと、この規制は正当化できず、無効となる(98条1項)。
 とすれば、この規制は存在しないことになり、原告の請求を妨げるものはない。」
的な文章にする必要があるわけですね。


その他の試験でも、論点やキーワードや論証の流れに問題がないのに
なぜ、得点が伸びないのだろう?とお悩みの方は、

「目的が違憲」的な文章で、何を言いたいかは伝わるわけですが、
こういう文章を見ると、どーも緻密でないなあ、ちゃんと要件がわかってなさそうだな
という気配になり、
全体がこういう何となくわかるけど、条文や要件との関係が良くわからない
という文章をつなげていってしまった結果、
大きく減点される、という可能性があるのでは、

と考えてみると、よいのではないかなあ、と思うわけですね。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿