ふりかえれば…まろ

まろやパンダは最近露出が減ってますが、時折更新されてます。

真夜中のブルー

2004-10-16 | 
「夜明け前のオレンジ」にひきつづき、奈良さんの作品、見つけました。というよりも、あれから気になって、角川文庫を探してみたんですけどね。
同じく2000年発行の角川文庫、江國香織『泣かない子供』に、はさまっていました。この本は買ったその日に読み終わったのに、私の記憶から、しおりの奈良美智さんの絵は抜け落ちていました。
片面は黄緑色。もう片面の白い面の左下。この絵。



なんでしょう。痛い。から。忘れる作用が働いたんでしょうか。

奈良さんの絵を見ていると痛いのは、子供の頃の自分の孤独感やらを思い出すからです。
全面的に親や周りの大人に頼らなければ絶対に生きていけないと思う絶望。決して愛されていなかったわけではなく、むしろ家族はとっても愛してくれていた。だから、これがなくなったら生きていけないと感覚でわかっていて、置き去りにされたらどうしようと、不安で仕方がなかった。どうしたらもっと愛されるかしらと考えて、わざと可愛らしく子供らしくふるまおうとするけれど、自分のような邪心じゃなく、心から純真無垢に笑う周りの子に引け目を感じて、人見知りしたり大人ぶったりする可愛くない子供でした。

奈良さんの絵も痛いんですが、今、もっとも痛いのはこれです。
江國香織『泣く大人』世界文化社、2001年。
『泣かない子供』から5年後の作品。



子供の頃は得体の知れない自分で説明できない不安でいっぱいだったけれど、泣く大人になれて良かったと思っていました。
私には泣いてもいい場所ができたから。
ひとりで隠れて泣いたりするなと言ってくれたから。
だけど、泣く大人になってしまったあとで、泣いてもいい場所を失いました。
残ったのは青い静寂。
もういちど、泣かない大人からやりなおしです。

関連記事
夜明け前のオレンジ(2004.10.14)
奈良美智/From the Depth of My Drawer(2004.11.10)

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3 コメント

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泣く大人 (見晴)
2004-10-17 03:45:20
きくさん、こんばんは。

奈良さんのしおり、1種類だけじゃなかったのですね。

私も見つかるといいな。



江國香織、私、ちょっと前まで苦手だったんですけど

久しぶりに読んでみたらやっぱり好きになりました。

この間も、電車の中で『デューク』を読んで泣いてしまいました。

『泣かない子供』も『泣く大人』も読んでみたいです。



きくさんがこっそり泣きたいときには、

役不足ですけどよろしかったら

うちのパンダさん。をだっこしてください。

役に立つことばも何もいえないけれど、

きっときくさんが泣きやむまでそっとそばにいます。
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ふかんぜんなわたし (きく)
2004-10-17 10:48:48
見晴さん、こんにちは。

もしかしたら、まだまだ他にもあるのかもしれないですね。

昨日、本屋さんで新潮文庫にYonda?パンダのしおりがはさまっているのも見つけました。定規としても使えるようにめもりがふってあるの(近いうちにアップするつもり)。

しおり、にくいのがたくさんあるんですね。



見晴さん。パンダさん。ありがとう。

ことばひとつひとつが、胸にしみてくるんですよ。

今は車を運転しながら泣く大人です。こまりますね。ふに。
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デューク (きく)
2004-10-18 23:16:07
見晴さん、ふたたびこんばんは。

コメントを読みながら、あれ?『デューク』ってなんだっけ?・・・忘れていました。

『つめたいよるに』に収録されている短篇でしたね。読み返してみました。

私は、江國さんの淡々とした感じがすきなんです。「びょおびょお」泣くとかいう表現、素直で可愛いけど、どこかに絶望していて冷たさも残っている感じ。
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