ふりかえれば…まろ

まろやパンダは最近露出が減ってますが、時折更新されてます。

「大阪ハムレット」と「酒井家のしあわせ」

2009-02-01 | 映画
久々に映画に関するエントリです。
「大阪ハムレット」を見ましたよ。
原作は森下裕美さんの同名の漫画。

社会的なテーマをいくつも折り込んでいるんだけれど。
そしてそれは、確実にリアリティをもって迫ってもくるんだけれど。
でも決して、重たすぎず、後ろ向きにならない。
それはやっぱり、関西モノにある、ある種の型のおかげなのかも。
押しつけがましくてうるさくて、だけども、なぜかそれが許される。
バカ正直さの中にある格好良さというのは、とってもしんどいことで、許し許される関係のあるところ、懐深いところでしか、本当はさらけ出せない。

ところで。「大阪ハムレット」を見る前に、「酒井家のしあわせ」(2005年)みたいな映画だったら嬉しいな。と思っていました。
そうしたら。
「酒井家のしあわせ」の森田直幸さんが出演していたので驚きました。
10代だけれども、きちんと「さん」づけしたい素適な俳優さん。
大人びた一面と、子どもらしい一面と、そして、どちらにも属したくない属せない「青春」という言葉でしか表せないような面のすべてを併せ持っているような。
たくさん書きたいことがあるけれど、ネタバレになりそうだから、これ以上は書かないでおきます。
「大阪ハムレット」はもちろん、ぜひ「酒井家のしあわせ」もオススメです。

映画「日本国憲法」

2006-08-24 | 映画
ドキュメンタリー映画「日本国憲法」を見ましたよ。

総裁選に出馬する阿部氏は改憲を表明していますね。
さいきんギュンター・グラス氏がナチス親衛隊に所属していたことを告白しました。

憲法ってなんだかよくわからない遠い話じゃないんだよ。
わたしの目の前にあるんだ。
わたしの毎日の生活の中にあるんだ。

奈良さんの絵も、そう云ってます。

ハウルの動く城

2006-02-15 | 映画
「ハウルの動く城」をようやく見ました。
DVDで見たせいもあるかもしれないけれど、力を入れずに見てしまう(見ることができる)作品だと思います。
たいていの作品には、自分の感情移入できるキャラクターがいるものだけれども、どのキャラクターにも感情移入できないのです。そして何処かファンタジー。いや。アニメなのだから実体がファンタジーなのだけれども、何かとシンクロするファンタジーじゃなくて、純粋にファンタジー。でもちゃんと魅せる上手さはやっぱりジブリだなぁと思います。

私は基本的に原作先行派で、映像を先に見てしまうと視覚イメージが強烈につきすぎてしまって、原作は読めなくなってしまいます。けれども、この作品は原作を読みたいなぁと思いました。
そのくらい、この作品は、あまり多くのことを語っていないのです。

それにしても。お城の動くシーンは。形を変えてゆくシーンは。やっぱり何度見ても楽しいです。
子どものおもちゃ箱をひっくり返して山にしたような。書類が積みあがって今にも崩れそうな山になっているような。
危ういバランスと遊び心に満ちている。ジブリアニメはだから好きです。

それから。写真はわたしの手持ちのものなのですけれども「ハウルの動く城」のイメージのひとつです。
もしかしたら。この黒いチェアカバーを見て。ふふって笑ってくれるかたがいらっしゃるんじゃないかなと思うのです(・・・いないかなぁ?)。
青空を切り裂くようにいっぱい降ってくる。しかも自由自在に形を変えてしまう実体のない印象的な恐さ。

パッチギ!

2005-10-24 | 映画
「パッチギ!」を観ましたよ。
映画館で観そびれていたのでDVDで。
まず何よりもタイトルがいいですね。いろんな意味が込められていて。凝縮されていて。若く、切なく、そして苦くて切実な言葉です。
物事には、時が経っているからこそ語れること、それから、時が経ってしまっているからこそ語らなくてはならないこと、そういうことがあるんだと思います。
私は当時の空気を知らない世代だけれど、たぶん同じ時代を経験したことのある世代なら、もっと思いを強くすることがあるのではないかと思います。
おそらく観る人の立場や世代ごとにそれぞれの楽しみ方があって、パッケージに書いてあるとおり、娯楽性と社会性を兼ね備えたとても素敵な作品だと思います。
個人的にはオダギリジョーさんのキャラはお気に入りです。
でも、やっぱり知らない世代の私が、これを観て何かを語るのはおこがましい気持ちになります。
笹野高史さんの語り口のひとつひとつが心に残っています。
たくさんのメッセージを。受け取ろう。
そうして。明日を生きていこう。

10月26日追記。元ハンセン病患者の訴訟判決が昨日ありました。
決して終わってなどいないのです。そのときのことを知らなくても。続く事実、続く時間の中に、私たちも存在しているのです。

宇宙戦争

2005-07-23 | 映画
映画「宇宙戦争」を見ましたよ。
すごくすごく恐かったんですよ。スピルバーグという人は、こういう恐ろしさを上手に描く人だと思います。えと…そう、「ジュラシック・パーク」みたいな恐さです。

辻褄が合わない場面や説明のほしい場面がたくさんあるのだけれど、考えているとおいていかれてしまうのです。その渦中に自身がおかれたとしたら。冷静に判断するということよりも、反射神経で身体の全感覚で本能的に反応できるのでなければ、間に合わないことがたくさんあるということなのかもしれないです。

でもね、ラストがあっけないのです。だから見終わった直後は、途中の恐怖感はなんだったんだ?って拍子抜けして、徒労感が増してしまうのです。ジェットコースターを乗り終えて、階段を降りて来て一番最初に目に入ったのがメリーゴーランドで、なんだかシアワセそうな音楽をたたえていて、その瞬間の、ほっとするような、あれ?なんだったんだ?みたいな、そんな気持ちになるのです。

けれど、数日経って冷静に考えてみると、ああ、そうかぁってまたじわじわと感じるようになるのです。対宇宙人じゃなくても、人は圧倒的に無力だって思い知らされてしまう瞬間があって。誰もヒーローになんかなれない。

「マイノリティ・リポート」を思い出す場面もあります。いろんな映画を見ている人なら、遊び心を感じられる作品かもしれないなって思います。
それにしても、宇宙人も大阪の水には耐えられなかったのかなぁ。

ムーンライト・ジェリーフィッシュ

2005-06-22 | 映画
 キレイな人が好きです。男の人でも女の人でも。
 特に手のキレイな人。つい指先を見つめてしまいます。

 映画「ムーンライト・ジェリーフィッシュ」を見ました。
 主役は藤原竜也さん。
 やっぱりキレイな人だなぁ。

 月のCGが印象的。プロモーションビデオみたい。


キレイな映像でつづられた映画。
台詞なしでもいいんじゃないかなって思いました。

できれば原作を先に読んで。映画の音はずっとオフにして。
主題歌の「月」by天野月子をエンドレスで流してたいな。

ホワイト・バレンタイン

2005-01-11 | 映画
ちょっと前に見た「ホワイト・バレンタイン」
書こうと思って忘れていました。
「猟奇的な彼女」で有名になったというチャン・ジヒョンのデビュー作。
(「猟奇的な彼女」は見てないのですけれど…)
韓国映画を見たかったわけではなくて。
タダ券をいただいたという不純な動機だったのですけれど…。

最後の方で。
チャン・ジヒョンがナレーションでつぶやいているんですけど。
その言葉がいいのです。

何か作品を作るとき。
この言葉をいいたくてつくる。そういう作り方がありますよね。
たとえば。歌でも。最後の一行の歌詞が云いたかったんだ。って。

この言葉を言いたかったのかなぁって。思ったんですよ。
素敵だったんだけど。
書いてしまうとこの映画は見なくていいやっていうことになっちゃうかも。
だから書きません。

その代わりに。ナレーション聴きながら思い出した一文。

歳をとるにつれ、わたしたちは子供のころに信じていたもの、
いいと思ったものをまたふりかえりたくなる。
あとはただ、さがす場所さえまちがえなければいい。


クリストファー・ド・ヴィンク『群衆のなかで、さよならと手をふる人』
(小野寺健訳、1993年、河出書房)

珈琲時光

2005-01-10 | 映画
「珈琲時光」を見ました。

・・・また寝てしまいましたよ。
昨年の10月以降、何本かの映画で寝ているんですよね。
今までの映画人生にこんなことなかったのにな。

でもね。面白くなかったとかそういうことじゃないんです。

一青窈さんの体の線がほんとによかったなぁ。
電車の中で窓をなぞる指先とか。
布団の上で抱えてる膝とか。
ゴハン食べてる背中とか。

たとえば高倉健さんを見てると。
この人ってひざ下だけでも語っちゃってるなぁって思う。
そういう感じが一青窈さんの場合にもあるみたいだ。

でも健さんと窈さんももちろん違う。
健さんが愚直な感じがする。
窈さんは透明だと思う。
体の線で語っているのに。でも透明なんだ。

お父さんのバックドロップはこてこてに大阪のにおいがしていて。
珈琲時光は現在の東京のまちのにおいがする。
どっちも素敵な切り取り方だと思うなぁ。

お父さんのバックドロップ

2005-01-10 | 映画
私は格闘技は苦手です。見てるだけで痛い。
何のために鍛えてるのかよくわからないのです。
何のために熱く燃えているのかよくわからないのです。
そして。格闘技を見て燃える人はもっとわからないのです。
いや。否定するわけじゃなくて。
自分の中には全く熱くなるものがないから不思議な気持ちになる。

そんな私が「お父さんのバックドロップ」を見ました。
原作は故中島らもさんの短編

泣いてしまいました。
笑ってしまいました。

どの登場人物も時々しょうもなーと云いたくなる。
でも。とっても愛したくなる人たち。

馬鹿みたいに一生懸命になることをかっこわるぅと思うこと。
そんな時期が人生の中にはある。けれど。
やっぱりバカみたいに真っ直ぐなのっていいなぁと思うのです。
人って素敵って改めて思うのです。

音楽がこれまたよかったです。
cobaさんのアコーディオン。
そして、エンディングのスネオヘアーの「ストライク」。
ほんとによかったです。
サントラを聴くだけで泣いちゃうかも。
スネオヘアーのアルバム 「フォーク」も聴きたくなりました。

アレクセイと泉

2005-01-04 | 映画
新しくPC買いました。ああ。サクサク。うれしい。
ずっとPCの調子が悪くて。なんとかしのいでいたんですけど。
実家に帰っている間にどうしようもなくなってきたんです。
それで。新しいPC。ぷふん。

今度のPCはDVDも見れるのです。
うれしくてうれしくて。「茶の味」グッとくるBOXを予約しちゃいましたよ。
でも届くのは2月の終わりのことなので・・・。

「アレクセイと泉」を見ました。
チェルノブイリ原発事故に汚染された村でたったひとつ放射能が検出されない不思議な泉。そしてその村にとどまり泉の水を使い生き続ける人々。素敵な映画でした。

淡々と村人たちの日常を撮り続けたのは本橋成一さん
本橋さんのとるものを見ていると、いろんなことがあってもやっぱり人間のことを好きになる気がします。
「イラクの小さな橋を渡って」【池沢夏樹(文)本橋成一(写真)】のスライド&ビデオ上映会(ちょうどアメリカがイラク攻撃を始めた日でした)に参加した時に、本橋さんにお会いしました。

見ていてつらくなるもの、攻撃的なもの、悲惨な現実を切り取ったもの、そういうものを撮る人もたくさんいる。そういうものが訴えることの大切さもわかる。
けれども僕はそういう写真は撮りたくない。
撮りたいのは、日常を生きる人たちの日常の姿だ。
優しげな語り口で、そんなことをおっしゃっていました。

本橋さんの映像は、撮る側、撮られる側、見る側に殺伐とした空気を感じさせません。
暖かく穏やかで淡々としている。
だのに「考えたことないなんて言わせない」って私たちに迫ってくる。
穏やかな笑顔の裏側にある気持ちもファインダーは見逃さないのです。
たぶん。

魚河岸ギャラリーもオススメです。

茶の味

2004-10-18 | 映画
茶の味」を見ましたよ。
不思議でしたよ。

この映画は、シーン、そのものが主人公なんですね。
だから誰かに感情移入しながら見たりするよりも、自分の体や心はニュートラルにして、場面ごとに飲まれるお茶の気分になって見ると楽しいんじゃないかなと思いました。

このおはなしはどうやって終わっていくのか、このまんまの調子でいくのかしらんと思っていたけれど、アキラオジイの残した家族の風景は本当に素敵だった。アキラオジイの目は、過去だけじゃなくきちんと未来も見てた。ちょっと泣けた。

アキラオジイの残した家族の風景は平田敏夫さんの作品。わたしもほしいな。

ディープブルー

2004-10-14 | 映画
ディープブルーを観ました。
波が圧巻でした。
シャチはすごいヤツだったし、光の届かない世界で生きる深海の生物たちの美しさにも魅了されました。

でも。途中で何度か首が落ちました。
じつは先日観たガイアシンフォニーでも首が何度か落ちました。今まで映画館で映画を観て一度たりとも寝たことがありません。でもこの1週間で2度も映画中に首がカクン。たまたま私が眠くなるような要素をもつ映画を続けて観てしまったということか。それとも、よっぽど体が睡眠を欲している状態が続いているということか。たぶんどちらも。だと思う。

なんだか、首が落ちてしまう状態で映画を観てしまったことの後ろめたさで、クレジットを最後まで見ることが出来ませんでした。クレジットも含めて最後まで席を立たないことにしているわたしが、はじめてクレジットの途中で席を立ってしまった映画。ディープブルーです。

スウィングガールズ

2004-10-10 | 映画
1週間ほど前に、スウィングガールズ、観ましたよ。
何も考えないで、元気になれるかなと思って行ったけれど、甘かったです。心に余裕がなくて、あぁ、ここは、いつもの私ならくすくす笑っている。と妙に客観的に冷めた目で見てしまいました。

でも、めちゃくちゃで、はつらつとしていてるところが、よかった。
下敷きをうちわ代わりに使うじりじりした夏。
手のひらに吹きかけた息の白い冬。
季節を感じられる思い出は宝物。

つぎは、いつ、ビッグバンドジャズ、聴きに行こうかな。

地球交響曲第五番

2004-10-10 | 映画
地球交響曲第五番を観てきました。
これまでずっと見る気になれなくていたんだけど、食わず嫌い状態は良くないと思い、初めて見ました。
いきなり第五番というのはやっぱりちょっとまずかったなぁというのが一番の感想です(まぁ、あたりまえといえばあたりまえすぎる感想だけれど)。第一番からすべて見ていれば、もっと第五番が濃い内容のものに感じられていたんだろうと思います。
たぶん、地球交響曲はプロセスそのものが作品のもつ重要な意義なのであって、何かを切り取ってどうこうというものじゃないんだろうと。過去の作品に登場した野澤重雄ジャック・マイヨール星野道夫諸氏の死も。
わたしは名嘉睦稔さんの声と話し方がとてもすきです。声と話し方が素敵な人をみつけると本当に嬉しくなります。

誰も知らない

2004-09-26 | 映画
「誰も知らない」を見ましたよ。いつもはとても空いている映画館が混んでいてびっくりしましたよ。やっぱりカンヌ効果なんでしょうかね。

想像していた以上に、後にひきずる映画でした。映画の前にビッグバンドのジャズを聴きに行っていたのですけれど、なんだかジャズはぶっとんでしまいました。そのままではおうちに帰れない感じでした。

隣にいらした方が中盤より激しく泣き始め、鼻までチーンとやりだしたので、どうしようかと思ってしまいました。やっぱり子供さんがいらっしゃる方ほど、冷静に見ることは難しくなってしまうのでしょうか。

私は、この映画は泣いたらだめだと思いました。
泣いたら、かわいそうだ。感動した。で、終わってしまうような気がするから。

誰も知らない。は、そう。私も知らない。だ。
知らなかった。見えてなかった。見ようとしていなかった。

映画だから見ていられます。現実の巣鴨子供置き去り事件をつきつけられればもっと苦しくなります。
大人の世界の中にもある差別を経て、子供はいつだって一番の犠牲になる。

最後に。だけど。冒頭のシーンは、ある方がよいのでしょうか・・・。