ごっとさんのブログ

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新型コロナ治療に抗生物質

2020-12-17 10:27:24 | 
新型コロナ感染症は拡大しているというよりも、高止まりが続いています。

この程度の感染者数は、ウイルスが蔓延している以上出てきて当然のような気がしていますが、withコロナとしてインフルエンザのように受け入れるべきと考えています。

医療機関では別個に様々な重症化対策として、治療薬の探索が続いており「日刊ゲンダイ」に抗生物質が有効という記事が出ています。抗生物質は細菌の増殖を抑える薬であり、ウイルスには効果がありません。

しかし新型コロナの治療現場では、広く使われているといわれています。軽症から中等症の患者を受け入れている病院では、免疫調整剤のプラケニルを使って炎症を抑えながら、マクロライド系の抗生物質を併用して肺炎の重症化を防いでいるようです。

細菌性肺炎の合併を防ぐ意味もありますが、じつはマクロライド系抗生物質には、新型コロナに対して有効な作用がある可能性が指摘されています。

そのひとつにクラリスロマイシンがあり、細菌のタンパク質合成を阻害しますが、その他にも多彩な免疫調節や抑制作用があり、新型コロナにも有効な可能性がありそうです。

クラリスロマイシンはエリスロマイシンという抗生物質の欠点を除いた誘導体で、半合成抗生物質といわれています。私の友人がこの開発に携わっており、いろいろと開発の苦労話などを聞き、私もクラリスロマイシンのファンになっています。

新型コロナによる肺炎の重症化は、過剰な免疫反応で生じるサイトカインストームが主な原因といわれています。炎症を防ぐためのサイトカインが大量に放出されて暴走し、逆に強い炎症を起こします。

IL-6は炎症を伴う疾患で高値を示すサイトカインで、重度の間質性肺炎や肺線維症を引き起こすことから、新型コロナの重症化にも大きく関わっています。クラリスロマイシンはIL-6などの炎症性サイトカインの放出を抑制するので、サイトカインストームを防ぐ効果があります。

適切なタイミングで使用すれば、エクモや人工呼吸器などを使う状態に至る前に病状を改善させる可能性があるとしています。ウイルスや細菌といった異物が体内に侵入すると、抗体の機能を持つ免疫グロブリンが作られて排除しようとします。

IgAは免疫グロブリンのひとつで、全身の粘膜面でウイルスと結合して無力化して感染を防ぎます。クラリスロマイシンはこのIgAの産生を促す作用もあるようです。

その他クラリスロマイシンはウイルスがヒトの細胞に侵入するときに利用するプロテアーゼという酵素の活性を阻害するという作用も知られています。こういった作用を総合して、ギリシャでは新型コロナの患者にクラリスロマイシンを単剤で使用する臨床試験が行われているようです。

こういった医療機関での試行錯誤によって、早く新型コロナの治療法が進展することを期待しています。


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