ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

認知症をステロイドで予防

2020-01-18 10:29:51 | 健康・医療
認知症はいったん症状が進んでしまえば、その進行を遅らせるような治療しかありません。

この進行を遅らせるというのもやや疑いがあるところで、ほとんど治療法がないというのが現状かもしれません。もちろん予防できればそれに越したことはないのですが、決め手となるような予防法や予防薬もないのが現実です。

認知症は脳にアミロイドβが蓄積し、脳細胞が傷むことによって起きるというのが現在の説ですが、それ以外に脳の神経細胞の炎症が原因のひとつであるという説もあります。

この仮説が本当であるとすると、炎症を抑えるような治療で認知症が予防できるかもしれません。2019年の認知症の専門誌に「治療薬のステロイドと認知症」との関係を調べた、興味深い論文が掲載されました。

ステロイドは炎症を抑える作用を持つ薬で、飲み薬や注射以外に吸入薬や点鼻薬などでも使用されています。ステロイドはこの骨格を持つ薬の総称で、非常に多くの種類が開発されていますが、強い抗炎症作用がある一方で副作用も強いことが知られています。

最も多く処方されている薬剤ですがやや嫌われている薬といえるのかもしれません。ドイツにおいて大規模な医療保険データを解析したところ、ステロイドを継続的に使用している人は、そうでない人よりも20%近く認知症が少なくなっていました。

ステロイドの種類では、最も予防効果があったのは喘息などの「吸入ステロイド」で、35%も認知症になる人が少なく、続いて「点鼻ステロイド」も高い予防効果が認められました。

これは喘息など他の病気の治療のために使われていたので、その効果はまだ確実とは言えませんが、吸入や点鼻のステロイドは副作用も少なく、画期的な予防法となる可能性があるとしています。

ここには調査対象の人数など具体的な数値はわかりませんが、大規模な疫学的調査結果としては面白いものかもしれません。これはあくまで一つの研究結果であり、これが確実であるという検証を待たなくてはいけません。

また予防薬というのはなかなか難しく、日本ではワクチン以外はほとんど認められていません。私は喘息の発作を抑えるためとして、ずいぶん長くステロイドの吸入を続けています。

もう10年ぐらいになりそうですが、この吸入を始めてから一度も発作が起きず少し止めてみようかと思っていました。それでも今回のように認知症予防に効果があるという事であれば、せっかく保険適用になっており安く手に入りますのでこのまま続けてみようかとも思っています。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿