ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

ダイヤモンドより軽くて強い炭素結晶

2020-08-21 10:27:56 | 化学
極めて硬い物質として知られるダイヤモンドより軽くて強い炭素結晶の存在を予測したと、筑波大学の研究グループが発表しました。

5つの炭素原子が環状に結合した構造を立体的に組み合わせたもので、「ペンタダイヤモンド」と命名しました。便利な材料として利用できる可能性があるようです。

研究グループは幾何学的な考察に基づき、炭素原子が5つつながった五角形の五員環の各辺同士を共有させると立体的な結合のつながりができ、結晶として存在できることを発見しました。命名したペンタダイヤモンドの「ペンタ」はギリシャ語で5つを意味します。

炭素原子だけからなる物質には、原子の結合の仕方によって性質の異なる4種の同素体が知られています。ダイヤモンドのほか、鉛筆の芯などの黒鉛(グラファイト)、球状分子のフラーレン、黒鉛が筒状になったカーボンナノチューブがあります。

一般的に冷蔵庫の脱臭剤や、着色した高分子を除去するのに使用する活性炭はグラファイトの仲間のようです。ペンタダイヤモンドが実際に合成できればここに加わり、化学の教科書が書き換わることになります。

次にペンタダイヤモンドの性質をシミュレーションで調べ、安定した物質の候補であることを明らかにしました。物質を全方向から圧する力に対してはダイヤモンドの8割とやや劣るものの、一方向に引っ張る力には1.3倍、斜めにゆがめる力には1.8倍と、様々な向きの力の罹り方に対してきわめて強靭であることが分かりました。

密度はダイヤモンドの6割しかなく、中がスカスカで極めて軽い構造となるようです。実際に合成できればこうした性質を利用し、硬さが求められる材料や高性能の電極など、幅広い分野で利用できる可能性があります。

炭素原子というのは、生物の体の骨格の基本となっているだけではなく、エネルギーの生産など生命を維持する上で必須の元素となっています。

もちろんこの炭素は水素や窒素、酸素などと結びついた有機化合物ですが、炭素のみでも面白い性質が引き出せるというのは興味深いものです。今回の成果はまだ具体的な物質を作り出したわけではなく、その存在の可能性を証明したにすぎません。

ただ現在の科学技術によれば、ダイヤモンドの合成さえ可能になっていますので、ペンタダイヤモンドも比較的簡単に合成できるのかもしれません。

さまざまな炭素単体が身近なところでも有用なものになっていますので、早くこのペンタダイヤモンドが実際に合成され、どんな用途になるのか興味が持たれます。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿