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糖尿病治療に広がる選択肢、症状で薬を選ぶ時代

2022-05-14 10:28:15 | 
糖尿病は血糖値が高くなる病気ですが、それ自身はそれほど恐ろしくないものの、合併症を併発すると重大な疾患に繋がります。

私の従妹はずいぶん昔ですが気が付かないまま網膜症を発症し失明してしまいましたし、友人の一人は腎症を併発し透析を余儀なくされています。

比較的身近な病気で日本人の患者数は厚生労働省の2019年時点の推計では強く疑われる人(治療を受けている人を含む)が1196万人、可能性を否定できない人は1055万人としています。

特に70歳以上の男性では、「強く疑われる」が26.4%となっており、4分の1は糖尿病の可能性が多分にある、あるいは既に診断されて治療中となっています。

血糖値は血液中に含まれるブドウ糖の濃度で、食事をして上昇すると膵臓からインスリンが分泌され、ブドウ糖が筋肉などに取り込まれて濃度が下がります。

しかしインスリンの分泌量が少なかったり働きが弱かったりすると高血糖の状態が続き、空腹時の血糖値が126mg以上、過去1〜2か月の血糖状態を示すヘモグロビンA1cが6.5%以上の場合などには糖尿病と診断されます。

この治療にはインスリンの注射が一般的でしたが、現在は非常に多くの治療薬が登場しています。治療薬のうちDPP-4阻害剤は現在多くの患者に使われており、インスリンの分泌を促すインクレチンというホルモンの働きを強める作用があります。

インクレチンは食事をすると小腸などから分泌され、この薬は低血糖を起こしにくいのが特徴です。またSGLT2阻害剤やGLP-1受容体作動薬は、体重の減少が期待できると考えられています。

SGLT2阻害薬は尿と共に糖を排出させる働きがあり、心不全による入院リスクを下げたり、腎臓の機能低下を抑えたりする効果も確認されています。GLP-1受容体作動薬は、インクレチンの一種であるGLP-1の働きを強め、注射薬に加えて2021年には飲み薬も登場しました。

糖尿病患者は肥満の状態だったり、心臓や腎臓の機能が低下していたりするケースも多く、これらの薬は選択肢の一つとなります。2021年にはインスリンの分泌を促すとともに、インスリンの効きをよくする作用がある飲み薬のイメグリミンも登場しました。

このように薬の組み合わせの選択肢が増え、場合によっては種類を減らすことができるようになりました。それでも糖尿病の基本は生活習慣の改善が大事なようです。

昔は糖尿病になるとカロリー摂取量を制限することから始まりましたが、現在は極端なカロリー制限ではなく、適した薬を用いながら体重減少を目指し、高血圧や脂質異常症にも気を付けるといった治療方針が主になっているようです。

それでもなぜこれほど多くの人が糖尿病予備軍となっているのか、単に生活習慣ではないような気もしています。


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