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疲労の原因物質と疲労度の測定法を発見

2021-11-14 10:27:25 | 健康・医療
何か活動をすると疲労感が出てくるのは当然といえますが、私はあまり疲労を感じない体質のようです。

ですから栄養ドリンクなどを飲んだことはないのですが、最近の栄養ドリンクのCMから「疲労回復」の言葉が消えたそうです。これは最新の研究で疲労の原因物質が発見され、研究が飛躍的に進展したためとなっています。

これは東京慈恵会医科大学の研究チームが、ヘルペスウイルス研究から、「リン酸化elF2a」という疲労原因物質を発見したことによるようです。

徹夜明けとか風邪で体が弱っているときに、唇の横に小さな水泡ができることがあり、これが口唇ヘルペスによるものです。このうち最も疲労に反応しやすいウイルスが、ヒトヘルペス6(HHV-6)と7(HHV-7)の2種類です。

両方とも赤ちゃんに突発性発疹という病気を引き起こし、ほぼ100%成人の体内に潜んでいます。研究チームはこのウイルスが少し残業をするといった程度の疲労でも、唾液の中に出てくることを突き止めました。

そこで唾液中のHHV-6やHHV-7の量を調べることで、疲労の有無やその度合いを客観的に測定する方法を開発しました。従来はVAS検査といって疲れを全く感じないを0、疲れ切った感覚を10として、自分で数値を判断するといういわば属人的な方法しかありませんでした。

研究チームは疲労の原因物質(疲労因子)としてリン酸化elF2aを発見しました。elf2aは臓器の材料となるタンパク質の合成を担う「タンパク質合成因子」で、これがリン酸化されることでタンパク質の生成量が減り、臓器の働きが低下したり機能障害を起こします。

疲労感は「炎症性サイトカイン」という物質が、脳に作用することで発症しますが、疲労因子はこの炎症性サイトカインを産生させる働きもあります。従来疲労を起こすのは活性酸素による酸化ストレスで、細胞が傷つけられてためとされていました。

これについて研究チームは、生理的疲労の場合体のどこにも異物は存在せず、免疫反応も起こらないとしています。先に出した栄養ドリンクは、ほとんど抗酸化物質が主な素材となっています。そこでこのCMでは「疲労回復」から「疲労感の低減」に変わってきたとしています。

物語としては面白いのですが、今回の疲労因子の発見が従来の疲労の原因説を覆すほど定着しているとは思えませんし、栄養ドリンク業界まで浸透することはないと思っています。この説が多くの研究者によって確認されるには、かなりの時間がかかると考えられます。

現在は研究者のひとつの説にすぎないといえます。それでも栄養ドリンクCMの表現が変わってきたのかどうかを注目して見てみたいと思っています。


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