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セミの羽根の抗菌剤を開発

2018-10-17 10:27:35 | 化学
関西大学の研究グループが、クマゼミの羽根の構造をまねて、強力な抗菌効果がある材料を作り出すことに成功したと発表しました。

薬剤などを使わず。物理的に細菌を死滅させられる安全で持続的な製品開発につながると期待されています。

セミは、アブラゼミやニイニイゼミなどの有色の羽根を持つ種類と、クマゼミやミンミンゼミなど透明な翅の種類に分かれます。このうち透明な翅には抗菌作用があると、オーストラリアの研究チームが2012年に発表しました。この研究チームはセミではなく、ベニヒメトンボという同様な透明な翅をもつトンボで実験を行っています。

実験ではトンボの翅の表面に、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、枯草菌を付着させてから3時間経過後の表面1センチ当たりの細菌の殺傷率を調べています。この結果殺傷率は、1分当たり45万個前後と非常に強く、これは黄色ブドウ球菌が人間に感染させるのに必要な量の810倍の速さとなっています。

今回はクマゼミの羽を参考としていますが、この羽の表面には高さ約200ナノメートルの極小の突起が1マイクロメートル当たり30から40個ほど、ほぼ規則正しく並んでいます。この構造は光の反射を抑え、水をはじくことが分かっていました。

ここに細菌が付着すると、生け花の剣山のように細胞膜を壊すと考えられています。あまりにも小さな世界ですので、イメージが分かりませんが、細菌の大きさは1マイクロメートルほどですので、この表面に付着すると何十個かの突起に刺されてしまうということかもしれません。

研究グループはこの構造を人工的に再現しました。シリコンの板を無数の樹脂製ビーズ(直径200ナノメートル)でコーティングし、上から金の薄膜を乗せ、これを特殊な液体に浸すと、シリコンと金が接触した部分だけが深く削られ、クマゼミの羽とほぼ同じ200ナノメートルの円柱形の突起構造が出来上がりました。

これもあまりにも小さすぎて、写真なども添付されていましたが、どんなものなのかよく分かりませんが、まだ試作品としてかなり小さな薄膜のようです。

この材料の表面に大腸菌を付着させると時間と共に死滅し、24時間の生存率は日本工業規格(JIS)で抗菌性が認められる1%を大きく下回ったようです。通常のシリコンの板の表面での生存率は数十%でした。

世界では抗生物質の効かない薬剤耐性菌の出現が問題とされており、銀や亜鉛などの金属粒子を使った抗菌剤は、人体に悪影響を及ぼす恐れも指摘されています。表面の構造だけで抗菌できれば、安全で常に清潔なトイレや台所用品、医療機器などに応用できる可能性があるとしています。

材料の大型化に必要な製造コストが問題ですが、研究グループは企業とも協力して実用化につなげたとしています。

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