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ごっとさんのブログ

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終末医療と延命治療

2016-09-11 11:49:58 | 健康・医療
このところ「欧米に寝たきり老人はいない」という本が話題になっているようです。

私はこの本を読んだわけではないのですが、著者の医者夫妻のインタビュー記事を読みました。この終末医療の問題は今に始まったわけではなく、かなり前から延命治療の是非を含めて議論されていましたので、この著者の意見には全面的に賛成ですが、なんで今頃という感じもしました。

著者は欧米の医療現場を視察した際に、ほとんどといっていいくらい延命治療をやっていないというのです。日本では飲み込むのができなくなると、誤嚥性肺炎などが問題になり、簡単に胃瘻へと移行するようです。

しかし欧米では、ここまで延命治療をすることがないので、誤嚥性肺炎など起こす前に亡くなってしまうようです。日本での寝たきり老人の公式のデータがないようですが、2015年で200万人と推定されているようです。

また胃瘻の増加には制度上の問題点もあるようで、老人が急性期の病院から老人ホームに移るためには、胃瘻の設置がないと受け入れてもらえないという状況もあるようです。この著者は患者本人の意思が確認できない場合は、家族がどういう終末医療を選ぶかを決定するため、その意識改革が必要といっています。

元気なときには延命治療などせずにと思っていても、いざとなった時は一日でも長く生きてほしいに代わることは多いようです。私の遠い知人のお父さんが、発作を起こし意識がなくなり、自発呼吸も難しくなったようです。この人はもともと難病に指定されていましたので、その病院に移り人工呼吸器と胃瘻による治療を受けました。

結局この人は意識も戻ることなく、約1年後に亡くなりました。私にしてみれば、意識もなく自発呼吸もできない人の1年とは何だったのか疑問に感じますが、家族の方は満足していたようです。このように家族の意識というのは様々ですので、むしろ医師の意識改革が必要ではと思っています。

日本の医療制度は、如何に命を救うかが基本であり、若い人の病気やケガに対してはこれで問題ないのですが、この概念が終末医療にも持ち込まれているのが問題だと思われます。しかし医師にとってもこういった問題意識があっても、現実には難しいことでしょう。以前胃瘻についての番組で、胃瘻を設置して、回復して外せると思われる人が10%で、もう回復は難しい人が10%、残りの80%はやってみないとわからないという医師がいました。

この80%のほとんどは回復しないのではと思いますが、これをどこまで減らせるかを医師に任せるのも無理のような気もします。こういった問題は、色々な方面から議論を起こすことが必要ですが、終活などが取り上げられており、少しは方向性が変わってほしいと感じています。