稽古なる人生

人生は稽古、そのひとり言的な空間

剣道の間合いについて

2017年01月20日 | 剣道・剣術
基本的な「一足一刀の間合い」とは、

一歩踏み込めば相手の打突部位を打ち込める距離。
一歩下がれば打突をかわすことが出来る距離。

おおむね、中段の構えでお互いの剣先が10センチ(3寸とも)ほど交わる距離。

基本技の練習では「一足一刀の間合い」と「打ち間」は同じ。あくまで基本。
私の場合、「一足一刀の間合い」という言葉は基本稽古時の説明用として使っている。

一般的には「一足一刀の間合い」は相手から遠ければ遠いほど有利なので、
その間合いを出来るだけ伸ばしていく意識と稽古が重要になる。
勘違いして、遠くから無理な体勢で打ち込めてもダメなのは言うまでもない。

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地稽古(互角稽古)になると「打ち間」は変化する。
ここを理解出来ないと進歩はおぼつかないし面白くない。

触刃(しょくじん)の間から交刃(こうじん)の間に入る。
若い、高校生や大学生はこの間で打ってくる者も多い。
彼らに取っては触刃の間や交刃の間が「打ち間」なのである。
ただ攻め勝って打ってないから簡単に高段者に仕留められる。

交刃の間から打ち間に入る。
触刃の間、交刃の間、それぞれに攻め方や入り方がある。
この部分で不用心に入っては駄目である。
案外多いが、交刃の間で気合(声)を出しても駄目である。
声を出している最中に打ち込まれたら対処出来ずに負けてしまう。
触刃や交刃の間も、相手によっては「打ち間」になるからだ。
気合(声)を出すのは触刃の間までと心得たい。

六段の頃、一度、間合いの異常に近い大学生(?)と稽古した事がある。
彼は向き合うなり、防ぎながらいきなり鍔元近い「打ち間」まで入ってくる。
どうするのかと見ているとそこから小手や面を強引に打ってくる。
打ちのスピードがけっこう速い。防ごうとすると打たれてしまう。
きっとそういう稽古ばかりしてきたのだろう。それなりにけっこう強い。

ただ攻めも何も無く、ひたすら近間から強引に打ってくる。
近間の試合巧者に対して防いでは間に合わないのが常だ。
胸や胴をドンと突いて制してあげるが彼には何のことか理解できないらしい。
突かれたまま面をひたすら打ってくる。闘志だけは認めよう。

その間合いから打ち合ってもスピード勝負になるだけである。
スピード勝負をしたければ剣道でなく陸上競技でもやりゃ良いのだ。
稽古としては面白くも何ともないので、すぐに稽古を終わらせた。

触刃の間合いから自分の打ち間までの入り方は大事なところである。
相手の竹刀を制して入る、正中線を割って入る、わざと面や小手を空けて入る。
不用心に入ったら跳躍力のある相手に打ち取られることもある。
そして「入ってからどうするか」の一瞬の判断が剣道の妙味であると思う。

相手の動き、自分の足捌き、状況に応じて打ち間は大きく変化する。
変化する中で、自分の打ち間、打つ機会を見つけていくのが稽古だと思う。
コメント
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