田園都市の風景から

筑後地方を中心とした情報や、昭和時代の生活の記憶、その時々に思うことなどを綴っていきます。

列車で吉井町へ 街並み散歩

2020年01月25日 | 日々の出来事

 松の内が明けた頃、ふと、列車に乗りたくなりJR南久留米駅まで歩きました。この駅は以前、六芒星のある駅として紹介したことがあります。

 日田行きのイエローワンマンカーが来ました。私の行先はうきは市吉井町。耳納連山を背景に、この列車が菜の花畑を走る姿は観光ポスターにもなりました。来たのは2両編成です。

 筑後吉井駅に着きました。ここから、ぶらぶらと歩きます。

 国道沿いの白壁土蔵の街並みを歩きます。

 吉井は日田街道の宿場町、そして久留米藩の在郷町でした。近郊農村の物資の集散地として商業が栄え、製蝋や酒造・製粉業が興りました。

 国道の両側は仕舞屋になった建物もありますが、昔ながらの白壁の建物で商売をしている店も多いです。この店は床屋さん。大正時代の街図にはここの名前があります。

 本屋さんです。

 手前の店はカフェです。最近は古くからの商売に替わり、こうしたお店が増えました。若い人が集まってきます。向こう隣の店は骨董屋です。

 最近はやりのドリンクを提供する店です。ちかごろ開業したようです。向かいに遠くからも客が訪れ、1時間以上も待たされる麻婆豆腐の店がありましたが、昨年末に閉店しました。いつかチャレンジしようと思っていたので残念です。どうやら一時休業のようです。

 吉井町にはこうした人気店が幾つかあります。いずれも若い人の経営です。都会ではよくある風景ですが、田舎町にあるとお洒落に感じます。

 国道筋から横道に入りました。この町では格子窓の家をよく見かけます。

 何でもない田舎町の街角です。

 街中を流れる小さな用水路。南新川です。水源は10キロ上流にある筑後川の大石堰。江戸初期、5人の庄屋が藩に嘆願して筑後川に取水口を築き、農業用水を引きました。現場のそばに立てられた5本の磔台を見ながら、農民が工事に励んだという五庄屋の物語。地元で語り伝えられる話で、私も小学生の時に社会科の授業で習いました

 水路の脇に、ごく小さな水神社があります。五庄屋は上流にある長野水神社に祀られています。この用水路は農業だけではなく、生活用水や産業にも活用されました。このあたりには水車が設置され、精米や菜種油製造などに使われました。古老からの聞き取りで作成された大正時代の市街図には、「矢野水車」「佐藤水車」「鳥越水車」といった名前が見られます。

 酒蔵を改装した観光会館。中に観光案内所があります。ここで一休みすることにしました。裏には市文化会館の広い駐車場があるので、車で来訪される方はここを出発点にすることをお薦めします。

 会館にはカフェが入居していて、手作りの小物も売っています。カフェといっても、どこからか持ってきたような不揃いの椅子とテーブルが何脚かあるだけです。街中にはお洒落なカフェがほかにもありますが、私は天井の木組みがむき出しになった、倉庫のような雰囲気が気に入っています。

 チョコレートのスイーツを頼みましたが、ここの名物は店主が焼くどら焼きだそうです。

 観光会館を出て駅に戻ります。左の建物は明治末期の居蔵造りの住居で、公開されています。

 大きなテルテル坊主が下がっているのは寿司屋さん。その向こうの角は今どきの書店です。店内に小さなカフェがあり、書棚には本がテーマごとに陳列されています。若い店主の好みにより選書した本を売り、ドリンクも提供する本屋さんです。

 この町では吉井銀といい、藩政時代から金融資本が活発でした。明治の後期に開通した久留米~日田間を走る筑後軌道の本社もここ吉井にありました。お金のある所には文化が集まり遊び心も生まれます。先ほどのカフェの経営者も若い夫婦ですが、古い街並みと若者の取り合わせが面白いです。

 白壁通りを歩きます。突き当りに見える白壁土蔵が、先ほど歩いた国道筋です。吉井町を訪れる観光客は中高年層が中心ですが、近年は若い人の姿が多くなりました。地元商工界ではこれから先、若い世代をターゲットとした取り組みを考えているようです

 帰りは赤いワンマンカーです。歩き疲れたので、終点の久留米駅まで乗りバスで帰ることにしました。

 

 

 

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
歴史散歩 (tyako)
2020-01-25 09:35:46
おはようございます。
歴史を感じさせる町中散歩一緒にあるいているような感じでした。
町全体で、町の雰囲気を大事に守って行こうとする気持ちが伝わってきます。
電柱もない素敵な町ですね。

九州様が好きだという、天井の木組みを見たかったです。
素敵な散歩ありがとうございました。
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観光協会 (tango)
2020-01-25 18:21:46
浮羽町をゆっくり歩いたことがありませんから
九州様のブログを参考にして回りたいと
思います

車で秋月経由で計画していきたいな~~
それから耳納連山周りで北九州に帰りたい
星野村も通過したい・・
またまたハードな計画で必ず実行しますよ
(わらい)
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tyako様 (九州より)
2020-01-25 18:56:59
こんばんは。
白壁の街並みが続く一帯は電線がないので、空がすっきりしています。
町の規模がそれほど大きくないので、ブラ歩きにはちょうど良いです。
カフェやパン屋、ラーメン店、本屋など若い人たちが色々やっているので、若い世代が集まり始めたように思います。
古い街並みを活かしながら、新鮮味のある面白い街になればと思っています。
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tango様 (九州より)
2020-01-25 19:05:37
こんばんは。
八丁峠にトンネルが開通したので、秋月経由は便利になったと思います。
星野村は良い処です。現役の時に温泉に入り一泊したことがあります。
耳納北麓を走るのもいいですよ。見どころがあちこちにあります。
国道210号へ下ればすぐ吉井町です。
お仕事の方は大変でしょうが、tango流で乗り越えられると思っています。

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