HAYASHI-NO-KO

北岳と甲斐駒ヶ岳

ヤブガラシ(藪枯らし)

2017-08-16 | 草 果実・種子

ヤブガラシの果実は一度しか見たことが無い。
幾つかの図鑑には「自家不和合性だから、結実率は低い」とある。
たぶんそうなのだろう。
花が咲き、午前中には花弁と一緒におしべは脱落する。
その後で花盤に蜜が出て昆虫たちを呼び、めしべの柱頭も伸びる。
ところがそのような自家受粉を避ける仕組みにも拘わらず…である。

「日本には三倍体ばかりだから結実しない」とも書かれているから
むしろこちらの説の方が説得力を持つ。



▲ 昨日咲いた花は、花盤の色も橙から薄桃に変わりつつある。

▲ 左の花柄辺りにある「丸い粒」は零れた蜜?では無い。

▲ 花柱が伸び始めているけれど殆ど(というよりも全部が)不稔。



▲ 花盤に蜜が溢れ柱頭が伸びる頃には、おしべは脱落している。
自家受粉は避けられるのかも知れないけれど、他花の花粉も貰えない…。


▲ 点々と見える「丸い粒」の正体を探り続けている。▼





▲ 殆どはこの状態でお終いになる。
関東以西に分布する2n=40(2倍体)のものはよく結実するが、
近畿以東に分布し東日本に多い2n=60(3倍体)のものは結実しない…と言うのが結論。


ヤブガラシ(藪枯らし)ブドウ科ヤブガラシ属 Cayratia japonica
(2017.08.13  松江)


▲ もう一つの不思議、あちこちに残っている水玉。
花盤の蜜が溢れたのではなく、訪花昆虫の排泄物でもなくて、
正体は高湿度などの条件下で起きる溢出現象(溢液現象)
ヤブガラシやノブドウ、ブドウなどに起きやすい生理現象で「真珠体(真珠腺)」と名付けられているそうだ。

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ヤブガラシアオツヅラフジヘクソカズラエビヅルノブドウ



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