渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

天下一品の倒れ方

2022年09月15日 | open

【真田広之】映画でのアクションシーン集


時代劇は斬られ役の演技に
よって斬った
ほうの腕が良
いように見える。

真田広之は日大の頃に殺陣
研究会に属し
たが、JAC出身
ながら剣劇の殺陣が上手い。

真田は時代劇の中で、悪役と
して特筆すべ
き際立った斬ら
れ方もやってのけた。

それが『必殺!THE HISSATSU』
(1984)に
おける悪者奉行が仕事
人中村主水に斬ら
れるシーンだ。
ここで真田広之は、芝居がかっ
た舞台演劇
のような倒れ方をし
ている。1秒以内にもんどりうっ
て倒れて大の字にのびるのだ。
多分、台本には「主水に斬られ
て前に
倒れる」としか書いて
ないだろうから、
これは完璧に
役者の表現力だろう。

16分29秒から。


なお、余談だが、この『必殺!
THE HISSATSU』には『
宇宙刑事
シャイダー』のパンチラのアニー
悪者奉行(真田広之)の小姓役
で出演して
いる。セリフはない。

真田の右後ろ、向かって左奥の
小姓が
アニーの森永奈緒美であ
る。

これはダイジェスト版ではなく、
本編
を観ないと判らないかも知
れない。

小姓5人のうち2名の女優が男役
を演じて
いる。

アニー。
毎回のパンチラアクションは
変身
物の子ども向けドラマにおいては
衝撃的だった。

まるで『水戸黄門』では由美かおる
さんの
入浴シーンが定番、みたい
な(笑)。





このパンチラキックのポーズは、
漫画の「クライムスイーパー」
の女子高生諜報員である三条雅
がよくやっていた。
(「クライムスイーパー」1973
/原作武論尊/作画坂井五郎。
1974年からは「ピンク!パンチ!
雅!」と改題された大人気アク
ション漫画)



しかし、このパンチラキックを
多用したのは、この少年漫画が
最初ではなく、ドラマ『プレイ
ガール』(1969~1974)だった。
これもエージェントアクション
物だ。
不朽の名作『キィハンター』
のお色気版のような作品。




『プレイガール』では、途中
から参加した
八代万智子さん
が妙に色っぽかった。



プレイガール


もっと年若い時に『マグマ大使』
(1966)でマモル君
のお母さん
役をやっていた女優さんね。


この時八代さん26歳。マモル君
の江木さんは
14歳。ママは12歳
でマモル君を生んだ事に
なって
しまう。
マモルはもっと年若い設定なの
だろうが、中学生の江木さんが
少年というより児童役というの
かなり無理があった。
1960年代70年代というのは、
未成年の子どもがマセガキの
時代であったからだ。
元世田谷区長などは麹町中の
時に全共闘だったりした(笑)。
当時のガキンチョたちはマセて
いた。
また、社会もそれを容認する
時代性があり、昔の映画を見
ると、フツ~に高校生たちが
酒盛り(しかも教師と)して
いるシーンとかもあるが、
これは現実世界もそうだった。

そうした「早熟」を黙認する
風潮は明治以降ずっと平成中
期あたりまで日本では続いた。
今でこそとんでもないことだ
と叫ばれるが、そもそも、さ
らに昔は女性は10代半ばで
結婚していたし、男子も元服
以降は成人扱いだった。
未成年である18歳の新入生の
大学生が新入生歓迎コンパ
(新歓コンパ)で大量に酒を
先輩から飲まされるのは1960
年代、70年代だけではなく、
1980年代においても定番だっ
た。
大学生は未成年であっても
「大人」と見なすような風潮
が社会全体にあった。
それゆえ、まるで維新の志士
たちが若者たちばかりであっ
たように、大学入学の18歳で
すでに社会構造を自分たちで
引っ繰り返して自分たちの
政権を作ろうというところに
若者たちは起ったのだろう。
年齢的には子どもだが、社会
意識を自覚せる10代として
大学生などの若者は「お子
ちゃま」の僕ちゃんたちでは
なかった。
特に19歳はその傾向が強く、
これは米国においても「19歳
の狂気」としてベトナム戦争
時代においては捉えられていた。
実はハイティーンにこそ人生
の地図がある。

『必殺! THE HISSATSU』
(1984)は、長回しで
殺陣を
撮影しているシーンも多い。

真田広之の薙刀を使う殺陣
と、それとやり合う
藤田ま
ことの殺陣が見ものだ。

本作では、悪者奉行の姉が
17才のご奉公時に
将軍に慰
み物のように人前で手籠め
にされて
死んで行った役を
AV女優の小林ひとみが演じ

ているが、17才設定という
のはかなり無理があった
よう
に見えた。

ただ、顔の系統は真田広之
と似ているので、
配役とし
ては適任だったかも知れな
い。

真田広之の最高の演技は、
『道頓堀川』(1982/
監督深作
欣二)で不幸な苦学生を演じた
演技
だ。
あれで真田はそれまでのアク
ション主体
の俳優から演技派
としての新境地を開いた。

映画『道頓堀川』は、私の中
で邦画ベスト5
に入る快作だ
と思っている。

トップは『七人の侍』だ。
あれは邦画としてではなく、
全世界の映画で
『七人の侍』
がトップだと私は感じている。

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