ソニー・エリクソンはドコモ向け新機種の供給を中止し、ドコモ主導の次世代技術の開発連合から離脱する。
今秋冬モデル以降、ドコモはソニー・エリクソン端末の販売を取りやめる。同社は、ドコモ向け生産から撤退、成長余地の大きい新興国など海外市場に経営資源を集中させる。
日本法人のソニー・エリクソンモバイルは、夏モデルで2機種を投入したのを最後に、ドコモヘの供給を中止する。
同社の07年度の国内出荷合数は320万台前後で、シェアは6.3%と6位。au向けの製品供給は続けるが、国内事業は大幅に縮小する。
●共同開発連合離脱
ドコモは16日、ルネサステクノロジ、富士通、シャープの計4社とデータの送受信速度が速い新通信技術に対応したシステムを共同開発すると発表した。
共通のLSIやソフトを使い、コスト削減を目指す。10年初めの開発完了を目指す。
従来は、ソニー・エリクソン、三菱電機を含む6社で連合を組んでいたが、三菱電機は今春で携帯電話事業から撤退し、今回はソニー・エリクソンが抜けた格好。
同日本法人は共同開発への不参加について、「開発費が高騰する半面、出荷台数が伸びない国内市場の現状などを踏まえて判断した」と説明している。
●新興国開拓に注力
携帯電話の国内契約数は、1億件を超え飽和感が強まっている。
今年の国内総出荷台数は、前年比2割減の4000万台強と見込まれるなど市場が縮小する中、一定の費用負担が求められる共同開発の枠組みに参加する利点が少ないと考えたようだ。
その上で、「ドコモとのビジネスを重視する姿勢は変わらない」としており、他メーカーへの生産委託などで、来年以降のドコモ向けに端末供給を再開する可能性もある。
ソニー・エリクソン本体は販売価格の下落などが影響し、4-6月期に200万ユーロ(約2億7000万円)の赤字となるなど、業績が悪化。
金融危機などで世界市場の伸びの鈍化も予測されるため、インドや中国など新興市場の開拓に力を入れる。
【記事引用】 「日本経済新聞/2008年10月17日(金)/11面」