携帯電話業界ブログ

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ソニー・エリクソン、通期決算5年ぶり赤字 世界市場縮小、業績回復道険し

2009-01-20 |  ソニーモバイル



 携帯電話機で世界大手の英ソニー・エリクソンが、通期決算で5年ぶりとなる最終赤字に転落した。

 このほど発表した2008年12月決算の最終損益は、7300万ユーロ(約90億円)の赤字となった。同社は市場シェアの確保よりも損益を重視する方向に転換し、業績を立て直す方針を打ち出した。

 だが、世界の携帯電話市場の縮小は加速しており、早期の業績改善は簡単ではなさそう。


●シェア拡大凍結

 「今は、シェアを追いかける時期ではない。2011年までに世界シェアを2桁に引き上げる目標は凍結する」。小宮山社長は、事業方針の転換を明言した。

 シェア拡大のための販売促進や値引きを抑制し、付加価値が高い製品の開発に注力する考え。

 同社が発表した08年12月通期決算は最終赤字が7300万ユーロになったほか、営業損益も前の期の15億4400万ユーロの黒字から、1億1300万ユーロの赤字に転落した。

 売上高は、前の期に比べて13%減で、これまで拡大が続いていた同社の販売台数も、同7%減少した。


●世界市場悪化

 背景には、想像以上に悪化した世界携帯電話市場の現状がある。

 同社は、08年4-6月期に僅かながら営業赤字を記録した直後に、3000人の人員削減を含むリストラを発表した。この時点では、小宮山社長は昨年7-9月が業績の底になるとみていた。

 だが、10-12月期にさらに悪化。営業赤字は7-9月期の3300万ユーロから、10-12月期には、2億6200万ユーロに拡大した。

 実際、世界市場はまだ下げ止まったとはいえない。08年は前の年に比べ、7%前後の増加は確保した。

 だが、上半期は15%増と近年では高い水準の伸びを示していたのに、下半期の大幅減で増加幅は圧縮された。09年は通年でも減少するとみられる。


●さらなるコスト削減

 そんな時期にシェアを追いかけては、泥沼の値引き合戦に拍車をかけかねない。

 最大手のノキアは、世界市場の4割を抑える規模を生かし、一段とコストを下げてくるはずだし、世界2位のサムスン電子は、ウォン安で値下げ余力がある。

 販売台数が少なく、高機能機が多いソニー・エリクソンには不利な戦い。同社は当面厳しい戦いになると覚悟して、追加リストラを実施する見込み。

 これまで、2000人の人員削減などで年間3億ユーロのコスト削減を打ち出していたが、さらに1億5000万ユーロの削減を進める予定。

 小宮山社長は、「市場は今年の前半までは悪いが、下期には改善の兆しが見えるはず。それまで凌がないと」と話す。


●見えてきた光

 ここにきて、光も見えてきた。ずっと下がり続けていた同社の平均単価が10-12月期に、前の期から12ユーロほど上がり、単価の下落に歯止めがかかったこと。

 昨年10-12月期までに、在庫もかなり圧縮できたという。課題だった米国市場では、販売台数が着実に伸びている。

 ノキア、サムスン電子などの上位メーカーと、販売減少が止まらないモトローラなどの下位メーカーの分類が鮮明化しつつある携帯電話機業界。

 環境が厳しい今、業界3位から5位を上下するソニー・エリクソンは、大きな正念場を迎えている。





【記事引用】 「日経産業新聞/2009年1月20日(火)/3面


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