NTTドコモの加藤薫社長は12日までに、携帯機器向け基盤(プラットフォーム)事業者のM&A(合併・買収)を積極化する方針を明らかにした。
TOB(株式公開買い付け〉を実施したイタリアのボンジョルノは現在までに株式の93%を取得、年内にも100%出資子会社化を目指す。また、冬春モデルとしてスマートフォンを中心に約20機種を投入。
M&Aで取得した海外企業のプラットフォーム上に、日本の独白コンテンツを乗せて配信するような収益モデルを確立していく。
●収益の一つの柱に
プラットフォーム事業者のM&Aは、日本発の動画や音楽、電子書籍、アニメ、ゲームといったコンテンツを海外向けに提供する狙い。海外向けコンテンツ配信を収益の一つの柱に育成していく。
5月にTOBを実施したポンジョルノは世界57力国、20億人の利用者に訴求できる基盤を持つ。ボンジョルノの基盤を通じて、日本でスマートフォン向けに提供している「dマーケット」のコンテンツを配信する方針。
一方で、冬春モデルとしてスマートフォンと従来型携帯電話を合わせて20機種前後を投入する。その中には米マイクロソフトの「ウインドウズフォン」投入も予定する。
夏商戦に関して、加藤社長は「6月に発売した韓国サムスン電子製『ギャラクシーS3』が20万台を超えた。スマートフォン販売は現在280万合に達した」としている。
今後は携帯端末メーカーと協力し、端末の操作性や使いやすさ、インターフェース(入出力)を充実した端末開発に力を入れ、米アップルのiPhoneに対抗する。
現状では、iPhone販売を手がけるソフトバンクやKDDIに対して苦戦している。
だが、加藤社長は「端末ラインアップと端末価格、料金プラン、音声自動応答サービス『しゃべってコンシエル』などサービスを充実させた。高齢者向け『らくらくスマートフォン』の問い合わせが多い」と自信をのぞかせた。
●戦略を修正
ドコモは、これまで海外通信事業者(キャリア)に対するM&Aを強めていた。
だが、消費者の嗜好がスマートフォンに傾くにつれ、現在はスマートフォン向けにコンテンツ配信できるプラットフォーム事業者に対してM&Aを強化するなど戦略を修正している。
ドコモは各種サービスを集約したアプリゲーション・プラットフォーム事業の売上高を11年度100億円から2015年度末までに700億-1000億円に引き上げる計画。
海外でプラットフォーム事業者のM&Aを積極化して、世界に向けてコンテンツ配信を実施。増収につなげていく。
【記事引用】 「日刊工業新聞/2012年7月13日(金)/11面」