英ソニー・エリクソンは2010年1―3月期の営業損益が2000万ユーロ(約25億円)と8四半期ぶりに黒字化した。09年10-12月期は、1億8100万ユーロ(約227億円)の赤字だった。
人員削減などの構造改革効果が出始めたほか、製品群を中高級機種中心に変えた戦略も奏功した。構造改革で赤字という出血は止めたが、今後の反転攻勢に向けて新たな成長戦略が重要になる。
●スマートフォンが牽引
携帯用基本ソフト「アンドロイド」を初めて採用したスマートフォンなどが牽引した。
同機種は国内でも4月に発売され、一部店舗で売り切れとなるなど市場での評価は高い。これにより、平均単価も09年10―12月期比11.7%増の134ユーロ(1万6819円)に改善した。
一方で、欧州中心に低価格機種の販売を絞り込んだことで、売上高は同19.7%減の14億500万ユーロ(約1763億円)と落ち込んだ。販売台数も同28.1%減の1050万台だった。
シェアは台数ベースで同1ポイント減の4%と苦戦が続く。同社は08年から構造改革に着手し、全世界の従業員を3150人削減するなど固定費削減を進めてきた。
韓国のサムスン電子とLG電子が世界市場で攻勢を強めており、このままではソニー・エリクソンのシェアは低下する一方。縮小均衡から抜け出す同社の次の一手が注目される。
【記事引用】 「日刊工業新聞/2010年4月19日(月)/8面」