中国のスマートフォン市場が急拡大している。調査会社の艾媒諮詢によると、2012年1-3月の販売台数は前年同期比2倍の2895万台で、通期で1億台を突破する可能性は高い。
同時期の国内総生産の伸び率は8.1%で3年ぶりの低成長となったが、スマートフォンの勢いは止まりそうもない。
●地元大手が伸長
圧倒的な強さを誇っていたノキアのシェアが急速に低下する一方、地元大手の華為技術と中興通訊の伸長が著しい。
易観国際の調査によると、ノキアは、11年4-6月に30.4%で首位に立っていたが、12年1-3月は11.1%まで急落した。この間、華為技術は7.4%から12.2%に伸ばし、ノキアを抜いて、首位となったサムスン電子に次ぐ2位につけた。
華為技術と中興通訊は通信大手と組み、「千元スマホ」と呼ばれる1000元(約1万2千円)前後の低価格品で従来型携帯から乗り換える消費者を取り込んできた。
2千元台の中高級品を投入し、販路を家電量販店やインターネット通販に広げるようになったのは最近のこと。
一方、首位のサムスンは1000-5000元台までの幅広い品ぞろえで2割以上のシェアを獲得した。米アップルは4000元以上の「iPhone」1機種だけながら、高いブランドカで5%以上のシェアを守っている。
海外勢が中高価格帯、現地勢が低価格帯とそれぞれ市場を二分していたが、新たに2千元以上の高性能スマートフォンでブランドの確立を目指すのが魅族科技(メイズ)や小米科技(シャオミー)など新興メーカー。
魅族科技は携帯音楽プレーヤーなどで製造技術を磨き、ソフト大手の経営者が創業した小米科技は基本ソフト(OS)などで独自ソフトを使うことが特徴。アップルをモデルとしており、現地発のブランドメーカーに変身しようとしている。
【記事引用】 「日経産業新聞/2012年7月10日(火)/3面」