NECカシオモバイルコミュニケーションズが18日、冬春商戦に向けた新商品説明会を開き、国内の大手携帯電話メーカーの製品戦略が出そろった。
各社ともスマートフォンに注力する方針を鮮明にしたほか、海外市場の開拓にも意欲を見せる。だが、iPhoneが先行し、海外メーカーが主導権を握る市場だけに計画通り進めるには課題も多そう。
●読みの甘さで出遅れ
NECカシオは同日、今年度中にまず北米市場に1機種、国内でも2011年度上期に3機種以上のスマートフォンを投入すると発表した。
欧州にも進出して、12年度の販売台数を10年度計画比2倍の1200万台に伸ばす計画。スマートフォン比率も、5割以上に高める。
スマートフォンは米グーグルの「アンドロイド」を搭載し、防水性や耐久性、薄型、高機能カメラなどに特徴を持たせた端末を投入する。次世代携帯電話「LTE」に対応したタブレット型端末も開発中。
NECカシオは上期の販売不振で10年度の販売目標を従来計画比2割減の600万台に下方修正している。
山崎耕司社長は「市場の読みの甘さでスマートフォン分野に出遅れたが、今後巻き返して12年度1200万台の目標を必ず達成したい」と抱負を述べた。
スマートフォン分野を巡っては国内最大手のシャープが今後2-3年以内にスマートフォンの国内販売台数を年間500万台に引き上げるとぶち上げた。
パナソニックモバイルも、15年度の販売目標1500万台のうち75%をスマートフォンとしたい意向。
●容易ではない巻き返し
調査会社の米IDCによると、スマートフォンの世界の出荷台数は14年に09年比約2.8倍の約4億8000万台まで伸びる見込み。
ただ、スマートフォン強化を打ち出しているのは海外大手メーカーも同じ。韓国のサムスン電子やLG電子、米モトローラなどもアンドロイド端末をすでに投入している。
国内メーカーは大幅に出遅れたうえに、一般の携帯電話に比べて差異化が難しいスマートフォン分野で巻き返すのは容易ではない。
【記事引用】 「日経産業新聞/2010年11月19日(金)/3面」