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国内携帯電話機メーカー、スマートフォン製品開発で巻き返し ハード性能向上で反抗の足掛かり

2011-08-24 | 端末メーカー/日本



 国内の携帯電話機メーカー各社はスマートフォンの製品開発で巻き返しに動き出した。

 国内外のメーカーの製品が出そろった夏商戦は、高いブランドカなどを武器に韓国サムスン電子など海外勢が販売競争をリードした。

 国内勢は得意とする薄型軽量化技術を生かしたり、ハードの性能向上に取り組むことで、反攻の足掛かりを築く考え。


●中国工場に負けない競争力

 NECカシオモバイルコミュニケーションズは、「iモード」対応の2つ折り携帯電話で培った技術をもとに薄型や防水を売り物にしたスマートフォンに力を入れる。

 今期はドコモの高速携帯電話サービス「Xi(クロッシィ)」に対応した端末のほか、薄型化でバッテリーを大型にした長寿命の端末の開発に乗り出しているもよう。

 生産性の向上も急ぐ。主力製品である薄型スマートフォン「メディアス」を生産する埼玉県神川町にあるNEC埼玉では、21ある生産ラインの約半分をスマホに振り向けた。

 機械による実装工程に続き、1ライン当たり約20人いる担当者が合計75点の部品を組み付け、1分以内に1台の速さで製品が完成する。

 人による正確なチェックと一貫した生産ラインのスピードで、「中国の工場に負けない競争力」とNEC埼玉の井上武俊社長は言う。

 富士通も「Xi」対応のスマートフォンとタブレット端末を開発し、通信速度の向上で「クラウドコンピューティング」サービスと組み合わせた戦略を描く。

 NECカシオに対抗して、業界最薄の端末開発にも乗り出しているという。同社は昨年東芝と携帯電話事業を統合し、NTTドコモ一辺倒だった開発体制を変更した。

 東芝が強みとしていた米グーグルの「アンドロイド」製品に加え、富士通の米マイクロソフトとのパイプを生かし、「ウィンドウズフォン7」を搭載したモデルもKDDI(au)向けに投入するなど、製品構成の多様化も進めている。


●ハード性能向上にシフト

 国内最大手のシャープは、得意とする3次元(3D)技術を中心により高精細な液晶やカメラなど、高機能デバイスを搭載した端末投入に力を入れる。

 ドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルそれぞれに主力モデルを投入する「マルチキャリア戦略」も拡充し、販売数の上乗せを図る考え。

 同社は情報端末「ザウルス」を開発した部隊をスマホ向けに切り替えるなど、過去の蓄積を生かしたアンドロイド端末の開発に力を入れてきた。

 パナソニックモバイルコミュニケーションズも、デジタルカメラ「LUMIX(ルミックス)」で培ったカメラ技術のスマートフォンヘの移植を図る。

 国内メーカーはスマートフォンに「おサイフケータイ」「ワンセグ」「赤外線通信」といった日本独自の機能を追加することで、グローバルメーカーとの差異化を図ってきた。

 だが、海外メーカーでもこうした対応が容易となっているため、ハードの性能そのものを高めた製品開発にシフトすることにした。





【記事引用】 「日経産業新聞/2011年8月24日(水)/3面」


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