けい先生のつぼにくる話

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健身球を買いました。 手の内の稽古

2015-05-26 15:27:27 | 圓功禅拳、古武術

安かったので、2セット買いました。サンフランシスコのクレメントストリートのチャイナタウンは観光地になっているグラントストリートの中華街ではないので、安く買えたようです。1セット2個で$2.99でした。


こんなふうに持ってくるくる回します。クルミをこんなふうに回す健康法が、日本でも紹介されていた記憶があります。

https://www.youtube.com/watch?v=D1Vfc-iIZJg&feature=youtu.be
大東流の先輩が紹介してくれた動画です。

この球は「健身球」ていうのですね。ずっと昔から、チャイナタウンやアジア人が出てくる映画の中で見かけてはいたのですが、名前までは知りませんでした。中国人は保定球と呼んでいるようです。
今回は岡本師匠に、「手の内の感覚の独り稽古には、中国人が掌でくるくる回しているあの球がよろしい。」と教えていただいたので、早速購入したわけです。

岡本先生が教える大東流合気柔術は特に「手の内」「表層筋群」「深層筋群」を微妙に使い分ける稽古から始まります。
1.手の内:ぐい飲みの手の稽古に始まり、指と手首は極力やわらかく保ち、手掌部に張り付くように存在する、手掌腱膜を使ってつかまれた腕や手首を通して相手を制圧したり、この手掌腱膜の動きを相手の体に浸透させて、打撃を加えたりします。

2.表層筋群:主に僧帽筋、菱形筋、胸筋、前鋸筋、腹筋、広背筋などを使って、腕や肘の筋肉を使わずに、相手に影響を与えます。

3.深層筋群:とくに腸腰筋群といわれるところの、腸骨筋と大腰筋を指します。
これらは主にお辞儀をするときに使われる筋肉群です。お辞儀をしようとしながら、あえてお辞儀をしないことによって発生するちからを、上記の表層筋群のどれかに乗せて、手の内とリンクさせて相手を制圧するのに使います。

ここで気がつくことは、腕のチカラ、いわゆる膂力というものが入っていません。
実は、腕の筋肉は全くといえるほど使いません。むしろ腕っぷしといわれるところの腕、肘、手首のチカラを使ってしまうと、上記の1.2.3.を合わせてできるパワーが止められてしまって、要をなさなくなってしまうのです。

人は格闘技をするときに、相手も同じ人間ということで、相手が腕の力で組み付いて来たり、打撃を加えてきたときには、こちらも腕の力でこれを防御することになります。反対の場合もそうで、こちらの動きは同じ人間の腕同士である限り、読まれてしまいます。
すると、どうしても、チカラが強い方、スピードが速い方、体が大きい方が必ず勝つことになります。
しかし、1.2.3.を合わせてできる筋肉群の力は巨大なもので、相手の腕一本のチカラではどれほど鍛え上げていても、これらの合力にはかないません。

そこで、腕全体の力を全く放棄して、体からのパワーを伝えるだけのパイプとしてだけに使い、
手掌腱膜をつかって、相手とうまく繋がっておいて、1.2.3.を合わせてできるパワーを使うと、一見同じ動きであっても、こちらの腕の力が抜けているために、出所のわからない異常に強い読めない力として、相手に認識されるわけです。

出所のわからない、異常なパワーを感じると、ヒトは、防御反応で固まる、あるいは防御反応すら放棄して、チカラが抜けてしまうという現象が起きてしまいます。
結果的に、
1.自分の体の一部が術者にくっついてしまって取れなって、きりきりと踊らされたように振り回されてしまう。
2.指一本で吹っ飛ばされる。
3.手先からおなかの中まで、ずっしんと響くような衝動が走って動けなくなる。

など、どう見てもやらせに見えるほどの、カメハメ波をくらったような現象が起きてしまいます。もちろん体に触れていなければいけませんが、、、
この時、術をかけている方は、ふわふわと相手をなでる程度しか力感がなく、やっている自分の方が、相手が役者さんで、私のためにやらせで跳んでくれてるんじゃないかなあと思えるほど力はいりません。

実は私自身も、このことを理解するのは大変でありましたが、何度もそういう技をかけていただくことによって、何とか理解できるようになりました。
では、自分ひとりでできるようになったのでしょうか。。。実際、、まだまだだと思います。

幸い、毎回師匠と先輩方に体をおさえてもらい、腕やからだのむだな力を封じてもらって、技の切れをよくしてもらって、勁力を発すると、何度かに一回、相手が吹っ飛んだり、制圧されたりする現象が起きました。これができると、なんともうれしいものです。

この現象を一人で行えて、かつ百発百中になってはじめてその技を会得したことになるのです。
まだまだ先は長いですね。。ほんとうに、、、

健身球は、一連の稽古の中の「手の内」につかう手掌腱膜の精度を高めるためのツールです。
やってみると確かに、手掌腱膜とそれに連なる指一本一本の操作を明確にすることができました。
手掌腱膜が使えるようになると、例えば相手にこちらの手首を握らせて、手掌腱膜を微妙にすぼめると、相手の手首が固まって防御反射が起きます。この防御反射で、相手は私の手から握った手を放すことができなくなって、そのまま腕全体が固まってしまいます。その時にこちらがさらに腕の力を抜いて、肘をすっと下げると、相手はつま先立ちの棒立ちになってしまいます。

健身球の話でこんなにひっぱってしまった。。。一部の武術フリークの方々にしか読んでいただけないかもしれませんが、最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
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