相手の車は本線への合流ではなく、Uターンするつもりだった。避けきれないはずだ。
軽自動車のフロントバンパーの右角がアフリカツインの左後ろのステップに接触したようで、アルミ鋳物のステップステーが引きちぎれていた。車はバンパーが緩んだ以外、無傷だった。バイクは、転倒によるダメージが大きく、左ステップがもぎ取れ、タンクは凹み、カウリングやサイドカバーがひどく傷ついていた。
周りの人が携帯をかけていた。「事故を起こしたんです。場所は---」「救急車を---」「救急車はいいです。大したことないですから。」「頭を強く打ってたから大事をとったほうがいいよ。」
促されるまま歩道に蹲ると目の前のバイクからオーバーフローしたガソリンが流れ出ていた。引火でもしたら大変だ。
「すみません。バイクを起こすのに手を貸してください。」二人の男性に手伝ってもらいバイクを歩道の脇に停めた。
会社に事故の連絡をしようとピッチをかけたが、まだ誰も来ていないようで繋がらなかった。郵便局長の奥さんが、綺麗なハンカチを差し出して「これ、使ってください。」という。よくみると、左肘から血が滴っている。「もってますから。どうも。」自分のハンドタオルをあてがった。郵便局長の夫婦は、長男の中学のPTA以来の知り合いだったので、何かと心配してくれた。家から冷やしたまっさらのタオルを何枚も持って来て怪我した両足を冷やしてくれた。白いタオルが赤く染まっていくのが申しわけなかった。
救急車が到着した。
「警察の現場検証に立ち会うまでここにいます。」と言うのに、救急車に運びこまれ、問診をしているうちに搬送先が新小文字病院に決まった。外の喧騒から警察が来たのがわかったが、救急車が動き出した。
「会社に連絡したいので、ピッチを使ってもいいですか?」今度は事務の女性が電話にでた。事故で救急車で搬送中の旨、午後から出社する旨、午前中の仕事の段取りを指示して電話を切った。
救急隊員や病院関係者、事故現場で御世話になった人たちが、私に家族や妻に連絡するよう言ってくれたが、入社したばかりの妻の立場を考え、心配をかけるほどのことはないと思い、妻への連絡を怠った。
軽自動車のフロントバンパーの右角がアフリカツインの左後ろのステップに接触したようで、アルミ鋳物のステップステーが引きちぎれていた。車はバンパーが緩んだ以外、無傷だった。バイクは、転倒によるダメージが大きく、左ステップがもぎ取れ、タンクは凹み、カウリングやサイドカバーがひどく傷ついていた。
周りの人が携帯をかけていた。「事故を起こしたんです。場所は---」「救急車を---」「救急車はいいです。大したことないですから。」「頭を強く打ってたから大事をとったほうがいいよ。」
促されるまま歩道に蹲ると目の前のバイクからオーバーフローしたガソリンが流れ出ていた。引火でもしたら大変だ。
「すみません。バイクを起こすのに手を貸してください。」二人の男性に手伝ってもらいバイクを歩道の脇に停めた。
会社に事故の連絡をしようとピッチをかけたが、まだ誰も来ていないようで繋がらなかった。郵便局長の奥さんが、綺麗なハンカチを差し出して「これ、使ってください。」という。よくみると、左肘から血が滴っている。「もってますから。どうも。」自分のハンドタオルをあてがった。郵便局長の夫婦は、長男の中学のPTA以来の知り合いだったので、何かと心配してくれた。家から冷やしたまっさらのタオルを何枚も持って来て怪我した両足を冷やしてくれた。白いタオルが赤く染まっていくのが申しわけなかった。
救急車が到着した。
「警察の現場検証に立ち会うまでここにいます。」と言うのに、救急車に運びこまれ、問診をしているうちに搬送先が新小文字病院に決まった。外の喧騒から警察が来たのがわかったが、救急車が動き出した。
「会社に連絡したいので、ピッチを使ってもいいですか?」今度は事務の女性が電話にでた。事故で救急車で搬送中の旨、午後から出社する旨、午前中の仕事の段取りを指示して電話を切った。
救急隊員や病院関係者、事故現場で御世話になった人たちが、私に家族や妻に連絡するよう言ってくれたが、入社したばかりの妻の立場を考え、心配をかけるほどのことはないと思い、妻への連絡を怠った。