気儘に書きたい

受験勉強よりもイラストを書くのが好きだった高校生の頃---、無心に絵を描く喜びをもう一度味わえたらいいのだが。

抱え地蔵

2009-07-28 11:21:29 | 風景画
 私は幼児の頃、門司で一番賑わっていた商店街に暮らしていた。友達はほとんど商家の子で、親に構ってもらえない子供たちはよくお互いの店を行き来していた。
 カメラ屋のK君のおばあちゃんの家が商店街から少し離れた住宅街にあった。
 ある日幼児にしてはちょっとした冒険気分で、K君と彼のおばあちゃんの家に遊びに行った。ちびっ子ギャングの突然の訪問に、おばあちゃんは喜び、甘いフレンチトーストを作ってくれた。初めて口にする味だった。上等なおやつといえば焼き芋の時代にフレンチトーストとは、きっとモダンなおばあちゃんだったのだろう。
 それからも何度かK君とフレンチトーストにありつこうと、おばあちゃんの家を訪れた。
 おばあちゃんの家に行く途中にお地蔵さんを祀ったちいさな社があり、私が今でもその前を通るのが好きなのは、幼い頃の思い出に繋がっているのだろう。