気儘に書きたい

受験勉強よりもイラストを書くのが好きだった高校生の頃---、無心に絵を描く喜びをもう一度味わえたらいいのだが。

良性だった!

2011-11-27 21:57:45 | イラスト
 13日間休みなしで働いて休みを調整し、今月15日、16日と2日間、新小文字病院に入院した。入院するのは生まれて初めての経験で、身体にメスを入れるのも初めてだった。
 一人で入院するつもりだったが、妻が仕事を休んで付き添ってくれた。朝9時半に病院に入ってレントゲンや血液の検査を終え、11時頃に内視鏡科で下剤の拷問が始まった。私の他に二人の患者がいたが、手術は私だけで、そのまま入院するので、順番は私が最後となった。昼食をすませて待合室で一人待っていた妻に、手術まで間があるので家に帰ってもらった。「手術が終わったら電話するよ。」
 4時ごろ手術台に寝かされ、いよいよ手術が始まったと思ったら3分ほどで「終わりましたよ。」と声をかけられた気がした。麻酔で眠っていたようで、実際は20分くらい経っていた。結腸に見つかったポリープの摘出手術はあっけなく終わった。手術までの手順は大腸内視鏡検査の時と同じだったが、下剤が前回より強く作用したようで、病院に着くまで3回、手術まで6回、手術後に5回もトイレに足を運んだ。手術後は血が出るばかりだった。
 手術後、車椅子で病棟に移され、四人部屋に入った。絶飲、絶食は病室の中で私一人だった。夜の食事が私以外のそれぞれのテーブルに運ばれ、美味しそうな匂いと音が私を悩ませた。気を紛らすためにベッドの上でイヤホンを付け、テレビと向かい合った。テレビはオプションだったが、借りて大正解だった。 サッカーの日朝戦の中継の後はプロ野球の日本シリーズが始まり、まったく退屈しなかった。
 病棟は10時消灯だったが、同室の方の要望で部屋の照明が9時に落とされた。普段の就寝が2時頃なので、なかなか眠れない。音が漏れないことをいいことにテレビを見続けていたが、画面のちらつきが薄い間仕切りカーテン越しに回りに迷惑をかけそうなので、11時に布団に潜った。
 少し眠れたかなと思ったら、ナースが私の点滴を取り替える気配で目が覚めた。
 懐中電灯を片手に持って、作業に手こずっていた。「灯りをつけましょうか。」「あ、大丈夫です。」 出血を抑えるために、点滴バッグを変えたりしていたのだが、調子が悪いのか、数時間ごとに点検の気配で起こされた。なんとか熟睡モードに入ったと思ったら、私の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。     「すみません。ちょっといいですか。今朝は6時に採血をして、8時からレントゲンを撮ってもらいます。結果がよければ退院です。」時計をみたらまだ4時だった。ぐっすり眠っているのを起こしてまで伝える事かと少し腹がたった。
 採血のことが気になって、5時に完全に目が覚めた。朝食の配膳が始まった。わたしの前に一汁一飯と野菜と豚肉の煮付けの小皿、ヤクルトジョアが載った盆が置かれた。「食べていいんですか。」「あ、『絶飲、絶食』なんですね。ナースに聞いてきます。」配膳係りと入れ替わりにナースがやってきた。
 「おなか痛くないですか。」「大丈夫です。」「じゃあ、食べていいです。」36時間ぶりの食事は質素ながらもご馳走に思えた。
 食事の後、手術の執刀医が来て「まだ出血しますか。」と聞いた。朝から既に四回下血していたが、退院が延期になっては困るので、「下血の色が薄くなってきてますから大丈夫です。」と答えた。ドクターが手術の処置を大腸内のカラー写真を見せながら説明した。「ポリープを注射で膨らませてこのように切除し、あとはこうしてクリップで止血してます。」三枚目の写真には二個の黒い小さなバインダーのような物で腸壁を摘まんでいる様子が写されていた。「え、まだ体内にこれが残ってるんですか。」「傷口が塞がれば、自然に取れて便と一緒に排出されますから。」
 10時半ごろ点滴が終わり服を着替えた。担当医の診断で、異常がない事を確認して退院することになった。摘出したポリープを病理検査に出しますので、26日に来院してください。」
 妻が迎えに来るまで病院のフロントの出店で、美味しそうなクッキーやサンドイッチを買って食べた。 家に帰り着いて安堵した。二日間の入院だったが、それ以上に長く感じた。

 昨日、朝一番に病理検査の結果を聞きに病院へ寄った。運命の判定は?
 「良性でした。」精神的に楽になって出社して、検査結果を周りに報告した。夜は二週間ぶりにお酒を飲み、妻と二人の健康に感謝した。