気儘に書きたい

受験勉強よりもイラストを書くのが好きだった高校生の頃---、無心に絵を描く喜びをもう一度味わえたらいいのだが。

亡き父との最後のコミュニケーション

2014-05-31 00:21:24 | イメージ画
 小学校6年になったばかりのある日、学校から帰ると父が病に伏せていた。
 私は学校からもって帰った「6年の科学」の付録を父の傍で広げた。プラスチックでできた凸レンズと凹レンズのセットで、二枚のプラスチックのレンズ型の中に水を満たし、ビニールコードで周囲を止めると、手軽に大きなレンズが出来上がる仕組だった。
 洗面器に水を張り、レンズ遊びに興じる私を父がやさしい眼差しで見ていた。この頃父と一対一で話をすることが少なかったので、私は父に背中を向けたままだったが、父が傍にいることが嬉しかった。