気儘に書きたい

受験勉強よりもイラストを書くのが好きだった高校生の頃---、無心に絵を描く喜びをもう一度味わえたらいいのだが。

駆逐艦「柳」の墓標

2017-01-31 22:37:39 | 風景画
 1月2日に妻と長女、次男の四人で若松にある軍艦防波堤に行ってみた。次男のリクエストに皆が付き合ったのだが、人気のない殺伐とした場所へ正月に訪れる物好きな家族と、防波堤で釣りをしていた人々の目に我々は映っただろう。
 1月20日は大寒で寒さが一段と厳しくなったが、仕事がオフの日だったので整骨院に行くことにした。軍艦防波堤に未練が残っていたので、用事を済ませた帰りに寄ってみようとスケッチの用意をして家を出た。バイクを走らせていると、ちょっとした台風のように風が強く、西の空に重苦しい雲が広がっていた。
 整骨院へ向ういつものルートを急遽変更して先に軍艦防波堤に行くことにした。
 強風に何度もハンドルを取られそうになりながら着いた波止場は前回と違ってまったく人影がなかった。バイクを降りて立ち●●をすると真横に●●が飛んでいくので、あわてて風上に背を向けた。バイクのタンクにセットしたツーリングバッグからスケッチ道具を取り出し、マフラーの代用にタオルで覆面をしてハウンチングを深く被り、写生を始めた。
 厳しい玄海灘の荒波が防波堤に打ち付けるたびにシブキが舞い上がり、左手に持ったスケッチブックが風に飛ばされないように緊張しながら、鉛筆を走らせた。
 描き始めの10分で限界だなと諦めて写真を撮り整骨院へ向った。




沈黙

2017-01-24 00:26:56 | 写真

 1月21日に映画「沈黙-サイレンス」が封切られた。遠藤周作の小説の映画化を巨匠マーティン・スコセッシ監督が28年かけて成し遂げた話題作だ。2時間41分の長編を、いつものように妻とレイトショーで鑑賞しようとすると、20時50分上映開始で見終わるのは0時近くになってしまう。ビデオが出回るのを待つしかないかと諦めかけていたが、昨日、幸運なことに妻と休みが重なった。
 夜中にパソコンで今週末に折り込むチラシのチェックをして校正のメールを広告会社に送り、床に就いたのは3時近かった。睡眠不足ながら朝早く家を出て9時15分の上映に間に合った。
 妻も私も随分前に原作を読んでいたが、内容は二人ともあまり憶えていなかった。スコセッシ監督の映画を見るのは「ヒューゴの不思議な発明」以来だった。よく見る日本の俳優が大勢出演していて、日本語と英語を交えながら違和感なくストーリーが展開した。すばらしい演出と映像に引きこまれて161分が短く感じられた。
 人間が他の生き物と違う点━信仰を持っているかどうか━で近世の西洋人は他民族を評価し、自分たちの信じる宗教を世界に広めることが神の意思であると信じていた。人間の強さ、人間の弱さ、人間の醜さ、さらに神の存在に疑念を持ちながら信仰を続けることの意味を考えさせられる映画だ。