架空庭園の書

音楽への"homage"を主題として、思いつくまま気侭に書き連ねています。ブログ名はアルノルト・シェーンベルクの歌曲から

Essential Michel Legrand Film music Collection

2010-10-17 | ミシェル・ルグラン

ルグランが2005年にベルギーのFlemish Radio Orchestraを指揮して録音したアルバム。

ルグランの音楽家としての才能について繰り返し書いてきた。しかし、ここでもまた、さらに上乗せして書いてみたくなる。そんな魅力をもったアルバムだ。

クラシック、ジャズ、ポップスといったジャンルという壁を感じさせない。
このアルバムでは歌を歌うことはしていないものの、アレンジ、指揮、ピアノやハープシコードを弾いたりと、これぞルグランといえる活躍ぶり。しかも、その曲すべて----映画音楽の名曲揃い----が自分で作ったものなのだから。

こんな「音楽家のスーパーマン」は他にいないだろう。

オーケストラの機能を活かした《シェルブールの雨傘》から始まる。
名曲を綴った《ロシュフォールの恋人たち》のメドレーでは、短いながらルグランのリリカルなピアノプレイが聴ける。
アレンジとして面白いのは、《風のささやき》。同音が2度繰り返されるモチーフ(mi-,si,si,do,do,si,si....)では、最初の音と次の音では楽器群が異なるように鳴らされ、まるで「こだま」のように聴こえるところ。ここでもルグランのピアノが聴ける。
わくわくしてくる《三銃士》、ゆっくりとした8ビートに乗って雄大なテーマが歌われる《ブライアンズ・ソング》。この曲ではベース・ラインもイカしてる。最後の《恋》では、バッハのような音型を、高速で繰り返すハープシコード。それに応えるハープ(奥さんのカトリーヌ・ミシェル)。

クラシックの素養、オーケストレーションの見事さ。そしてジャズ・メンとしてのセンス。
ただ聞き流すだけではもったいない。入念に、しかも押し付けがましいところはまったくない、さりげなさをもって書き込まれた(と思われる)スコアから生まれるサウンドの豊かさといったら、もう堪まらない....

1. I Will Wait For You 《シェルブールの雨傘》
2. Medley (You must believe in spring/Concerto de maxence/La chanson des jumelles)《ロシュフォールの恋人たち》
3. Summer Of 42《おもいでの夏》
4. Never Say Never Again
5. How Do You Keep The Music Playing
6. Thomas Crown Affair《風のささやき》
7. What Are You Doing The Rest Of Your Life《これからの人生》
8. Three Musketeers《三銃士》
9. Wuthering Heights 《嵐が丘》
10. Brian's Song《ブライアンズ・ソング》
11. Dingo
12. Yentl
13. Go Between 《恋》

# カタカナになおすだけの曲名は英語表記のみ

Flemish Radio Orchestraは近年Brussels Philharmonicと名前を変えている。

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