今までだったら絶対に手に取ることはなかったと言い切れる本。
表紙の帯に書かれた「ゲーム制作に青春をかけた男女の友情物語」は興味あるジャンルではないし、書店で見かけた記憶はあるが実際に手に取ったことはない。
ではなぜこの本を読んだのだろうか。
三宅香帆という書評家がいて「人生を狂わす名著50」という著書がある。
数年前に「人生を狂わせる本とはどんか本なのか?」と興味を持ってこの本を読んだことがあり、そこで紹介された50冊のうち1冊たりとも今までに読んだことはなかった(だから私の人生は狂っていないのかも)のだけれども、その中の1冊だけはもうずいぶん前から読もうと思いつつ読んでいなかった本(三浦綾子のデビュー作「氷点」)で、それ以外はほぼ知らないタイトルばかりだったことがあった。
それが最近ふとしたことで三宅香帆の選書サービス(現在は終了)があることを知った。
異なったジャンルの中から隔月1冊の計6冊を選んで送ってくれるというもの。
紹介記事を読んでみたところ「これは100%自分では手に取ることはないと言い切れる本」が送られてくるのだとの確信を持った。
もともと小説、文学作品といわれる本はあまり読まないし(年に4~5冊程度)、新聞広告も含めたメディアでの紹介で手に取ることが多いので、自分の選書アンテナで小説、文学を拾うことはほとんど無い。
書店でもそのようなコーナーはさっと眺めるだけ。
なので、「プロの書評家がお薦めする絶対に面白い本」で、なおかつ「自分では絶対に手に取ることのない本」てどんな本だろう? と俄然興味が湧いてきてすぐにその選書サービスを申し込んだ。
それで送られてきた1冊目がこの「トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモロー」
字の小さい単行本550頁の長編小説はさすがに一気には読めず数回に分けて読んだので短期記憶の衰えた中高年には厳しいところもあったが(笑)、読み始める前は「自分に全く興味の湧かないジャンルの長編小説を果たして読了できるのか」と不安もあったが、中弛みせずに4日ほどで面白く読み終えた。
この「自分に全く興味の湧かないジャンルの本」を手に取るには、他人から薦められるかあるいはこの選書サービスのように「強制的に手元に送られてくる」しかないと思う。
実際、自分が興味を持つジャンルなんて本当に限られた範囲でしかない。
それ以外の無数に存在する「自分の選書アンテナで拾えないジャンルの本」を手に取る機会なんてほとんどない。
このあとまだ5冊送られてくるので「一体どのような本が送られてくるのか」がホントに楽しみ。
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