河川敷の未舗装路から始まり、アップダウンの少ない宮沢湖~多峯主山トレイルラン、アップダウンの厳しい飯能アルプストレイルランと続いた地下足袋試走シリーズも今回が最終章。残すはロードランだけ。
そこで平成23年1月23日(日)、地下足袋「親方寅さん」を履いて多摩湖周回14kmロードランを行った。
親方寅さん
「村山温泉かたくりの湯」を起点にして多摩湖を左回りに周回、東端の狭山公園先の武蔵大和駅まで足を伸ばす大回りで起伏の多いコースを走ってみた。
今まで3回地下足袋で試走を行ったがいずれも未舗装路。今回はオール舗装路。固いアスファルトの上を薄底の地下足袋で14km走ってみたらどうなるのか。トレイルでの使用については過去記事を参照してもらえばわかると思うがあまりデメリットは感じなかった。グリップはかなり効くし良く足が前に出る。登り坂ではかなり走り易い。デメリットと言えるのは握り拳ほどの大きさの石を踏むとかなり痛いことくらい(笑)
ただしトレイルとロードを比べれば路面の固さと走る速度がかなり異なる。ということは着地の際の衝撃はロードランのほうがはるかに大きいということ。その固い路面を薄底の地下足袋で走ると一体どんな感じがするのかが今回のテーマ。
で、感想を。
楽しいか楽しくないかの判断基準を横に置いて感想を述べれば(笑)、眉間にシワをよせてロードランをするならば靴は履いたほうが良い(笑)
トレイルとロードでは着地の際に足に加わる衝撃が全然違う。はるかにロードランのほうが大きい。ただし地下足袋だからといって、その衝撃で足を痛めるとかそういう話ではない。もちろんキロ4分台とかの速さで走ったら足を痛めるかもしれない。それは私にはわからない。なぜなら私はそんなペースで走れないから試してみることができない(笑) 下り坂では特に衝撃は大きく、ついつい上体が起きてペースダウンしてしまうが、そこで再度前傾姿勢をとって加速すると本当に「ドッタンバッタン状態」になる。ただいくら「ドッタンバッタン状態」になったからといって足首が痛くなったり膝が痛くなったりするわけではない。あくまでも足裏から体全体が「ドッタンバッタン」となって多少不快なだけなので、その感触に慣れてしまえば別になんてことはない。
ただし、ランニングシューズだとある程度の厚さの靴底があって着地の際の衝撃を吸収するとともに、ある程度靴底がバネの役割をして衝撃の反発力を推進力に換えているように思う。ランニングシューズで感じる「弾むような感覚」は地下足袋では感じられない。地下足袋ランの先達によれば「ロードランでは地下足袋は確実に少しだけタイムが落ちる」とのことだが、これはこの辺りを指しているのだと思う。
あとはトレイルでも感じることだが筋肉痛が早く強く出る。ということはランニングシューズに比べて地下足袋のほうが筋肉にかかる負荷が大きいということ。ということは地下足袋よりランニングシューズのほうが足は楽といえるだろう。
以上の事から、速く走ろうと思えば何も地下足袋を履く必要は無く普通にランニングシューズを履いて走れば良い。こと舗装路を速く走ることに関しては地下足袋のメリットは無いんじゃないかと思う。
では楽しいか楽しくないかの判断基準を横に置かずに感想を述べたらどうなるか。
地下足袋に軍配!(笑)
何の変哲もない単純な舗装路ではさほど楽しくないかもしれないが、ことトレイルに限ればリアルな足裏感覚と軽やかな足さばきは捨てがたい心地よさ。舗装路でもアップダウンのある林道などではその心地よさは感じられると思うし、少なくとも登り坂であればずいぶんラクに登れることが感じられると思う。大して速くもないランナーが、レースで使用するのでもなく、ただ楽しさを求めて走るのであれば、地下足袋はその楽しみを今よりもっと大きくしてくれる実に楽しいツールだと結論付けたい。
でチャンチャンとなるワケであるが(笑)、これに関連して今日感じたことを付け加えてみたい。
何かと言えば「着地の際の衝撃と膝への負担」のこと。
膝痛に悩まされているランナーやハイカーは実に多い。そしてその原因は、ランナーの場合は着地の際の衝撃が、ハイカーの場合は下り坂で長時間膝に体重がかかる状態が続くことによるものだと言われている。ランナーの場合は固い舗装路で走り過ぎて、ハイカーの場合は長い下り坂を下って膝を痛める。そしてその対策として靴にインソールを入れたり靴底の厚い靴に履き替えたり。
こんな事を書いているが、実は私は膝を痛めたことが無い。だから、どうやったら膝を痛めてどうやったら良くなるのかということは実感としては判らないのだが、今まで何回かダイレクトに足に衝撃を受ける地下足袋を試してみて感じたことがある。
ご存知のとおり地下足袋には薄いゴム底があるだけで(もちろん種類によって厚さの違いはあるが)、ランニングシューズに比べれば靴底ははるかに薄い。薄底シューズと比べても断然薄い。もちろん裸足とまではいかないが、走っているときに足に受ける衝撃はランニングシューズに比べれば大きい。もし着地の際の衝撃によって膝を痛めるのであれば、地下足袋で走ったら確実に膝を痛めるだろう。いや、痛めなければおかしい。また、10kmの山道を歩いて下るのと15kmの舗装路を走るのではどちらが足に衝撃を受けるか。舗装路を走るほうが衝撃が大きいだろう。ところが今まで地下足袋で4回試走してみて、10~15kmのトレイルや固いアスファルトの上を走ってみて、膝を痛める気配すら感じない。もちろん足のいたる所に筋肉痛が発生したりはしたが、膝周囲の靭帯は全く痛まない。
通常、走るときに足に受ける衝撃は下から上に垂直方向にかかる。人間が二足歩行を始めたのがいつからなのかは良く知らないが、160万年前の原人はすでに下肢の骨格は現代人とほとんど変わらないらしい。ということは少なくとも160万年前から人類は二本の足で立ち、歩き、走っていたことになる。これだけの長い間二本の足で走っていた人類の膝が、ほんのここ数十年の間に走ることに耐えられないほど退化するはずが無い(笑) 思うにランナーやハイカーが膝を痛めるのは、垂直方向にかかる衝撃とは別のところに原因があるのではないか。だとすれば着地の衝撃を和らげるために靴底を厚くしたりインソールを入れたりすることは膝痛対策にはならない。実際、そのような対策を施して膝痛が治ったという話はあまり聞かないんだよね… 多少痛みが和らいだという程度で。
まあ膝痛の経験の無い人間がいろいろ言ってもあまり参考にはならないかもしれませんが、たぶん膝痛の原因は他にあるのではないかと…
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