新勝庵

元サラリーマン、映画・読書・芸術好き。
おんとし 92歳 です。

やまと狐

2011-11-21 11:21:48 | うんちく・小ネタ

山本作兵衛さんの絵は炭坑内の労働画が殆どだが、それ以上

に興味を引く面白い絵も沢山ある。 

その中の一枚。本物は厳しく撮影禁止だから,

貰って帰ったチラシの中の絵の右の字を拡大して作兵衛さんの

書いた説明文を判読したが、読むのに苦労した・・・!

Photo

「青枠の部分」 → 「やまと狐 医師と見舞客」の箇所

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全文はかなり長いので ・・・ 内容を要約すると ・・・

〝 明治三十五年頃、K炭坑の一坑夫がガスケ(ガス爆発

で大火傷し、自宅で療養中に珍事がおこった ・・・ 真夜中に

突然大勢の見舞客が医師二人を連れて、ドヤドヤと訪れた。

与吉(?父)も女房も看護疲れでうとうとしていたがびっくり、 

これはきっとやまの役人・幹部・有志者の方達と思うたらしい。

 二十人からの来訪者の中には幼児を抱いた女もおり、 

医者は治療していた ・・・ 屋内は暗く、よくは見えない ・・・

がかしこまってていた ・・・ 

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ところが、東天の白けぬ内に皆煙の如く消えた ・・・ 

その時患者はすでに氷のように冷え息絶えていた。 

女房はびっくりして!大声で泣き喚いた ・・・ 驚いて駆け付け

た山の人達は その状況を見て、地団太踏んで悔しがった・・・!

このK坑は山の中で狐が数多く ・・・ 昔からこんなことがあっ

たらしい?

   「狐は火傷や痘瘡のドガサ(かさぶた)を好む」

・・・ お判りでしょう!火傷の皮膚をみな狐に食べられた ・・。

明治の匂いのぷんぷんする語り伝え!

私も子供の頃は年寄達に、この種の狸狐が化けた、化かされた

の話をずいぶん沢山聞かされ、怖い思いをしたものです。


さまちゃん

2011-11-15 21:04:29 | うんちく・小ネタ

山本作兵衛さんの絵の事は昔からよく知っていて、筆使い

がうちの婆ちゃん(私の母)が描く絵と似てるなーと、

近親感を持っていた(明治の人の絵?)

Photo

それが「ユネスコ世界記憶遺産」になり、倉庫に眠っていた

百点近いものが逐次公開されることになったので、久しぶり

に田川市の「石炭記念博物館」に行ってみた。

ここは、「旧三井鉱業所伊田炭坑」で、 あの「炭坑節発祥」

の地であることも知っていたが

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立派な炭坑節の祈念碑ができているのにおどろき・・・!

最初の歌詞は

♪ 香春岳から見下ろせば  伊田の立て坑は真正面

十二時下がりのさまちゃんが ゲージにもたれて思案顔

  さのよいよい

炭坑節の歌詞は沢山あるが、もう一つ、昔から歌われてる

のに、

♪ 一山 二山 三山 越え 奥に咲いたる八重椿

なんぼ色よく咲いたとて さまちゃんがかよわにや

あだの花   さのよいよい

・・・ところで・・・

私は、子供の時からこの ゛さまちゃん”って誰の事だろう?

と、ずーっと思っていたので、この際思い切って聞いてみよ

と、石炭博物館の職員さんに尋ねたが、 エーッツ!よく

知りませんですねー?

次に、伊田町の定食屋さんで、ビールをのみながら、

おばちゃんに聞いたけど「いつも踊っとるばって 考えたこ

とはなかねー??」だと。

帰りにローカル電車を待ってるとき、ホームの待合室で

おばあちゃんとお爺ちゃん(かなりの年寄)に話しかけ、

聞いてみたが・・・「人のなまえでっしょーかなー ようわしり

まっせんばい」  結局明解なし・・・・

要するに「こんなどうでもいいことを ほじくって知りたがった

わたしがアホということや!!! 

きっと、いけめんのキムタクみたいないい男のことを

 サマチャンといたのだろー??? でも知りたい!!


カリンカ舞踊団

2011-11-06 16:06:07 | アート・文化

ロシア少年少女舞踊団「カリンカ」の踊りを見た。可愛い!

綺麗!上手い!

モスクワで40年の歴史と伝統を持つ6~16才までの少年

少女350人が所属するアマチュア舞踊団で、今回は13人

が来日した。 

過去42か国で180回以上の公演をしているが、それがど

うしてこの宗像の地で?・・・ロシア大使夫人と旧知の仲で

トルストイの研究家であるデヴィス・ふみ子氏の実姉がこ

の宗像市に在住して居られる関係から、ロシアと日本の

子供交流の目的で実現したした由。 ロシア大使も同行

されてこられた。

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可愛い小さな男の子が、実に軽妙にコサックダンスを踊る!

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帰りに「マトリョーシカ」4ケ組600円・・安かったので買って

帰った。


秋刀魚の味

2011-11-02 21:56:54 | 映画

「山田洋次が選んだ日本の名作100本」の内「家族編50本」

が今年4月から再映されている。 何度見てもいい映画は心

に沁みる!

名監督小津安二郎の遺作となった、一匹も秋刀魚は出てこな

い秋刀魚の映画

今ほど家族ということを考えさせられる時代はない、 まさに

国の根幹である家族制度は崩壊したに等しい??だから

小津の世界に日本の深奥、郷愁を感じるのかも!

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この映画は昭和37年の作品。 まことに古き良き時代の香り

豊か。 「タイトルバック」が廊下から玄関を見通した・・まさに

家庭の玄関から始まる。

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カメラをテーブルの高さに置いて撮影する「小津目線」小津

映画に出てくる心温まる友情シーン ・・・ 一人娘の結婚を

世話し、勧める心温まる友情シーン! 「早くに亡くした奥さ

の代わりに娘を何時までも便利にしすぎる!・・・

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当時の懐かしい行きつけのトリスバアー・・・つい足が向く

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気の置けない部下と会い・・・・娘を手放す(結婚)事を決心

する

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結婚式の朝、出来上がった綺麗な娘の花嫁姿に息子夫婦

 

と 共に・・・・

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母を亡くし父の愛情で育てられた娘が嫁いで行くときの ・・

 

感謝に満ちた父への眼差し ・・・

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式が終わり夜更けに、一人になって訪れる何時ものバー

うれしくもあり、悲しくもある、ほろ苦い、まさに「秋刀魚の

の味」 ・・ 人生の味?

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最後は、娘の居ない家に寂しく一人帰ってくる ・・・ 玄関

から始まり、玄関で終わる ・・・・

品のいいユーモアーとペーソス、まさしく「小津の世界」

私は、又再映されればまた見るだろう!!