山本作兵衛さんの絵は炭坑内の労働画が殆どだが、それ以上
に興味を引く面白い絵も沢山ある。
その中の一枚。本物は厳しく撮影禁止だから,
貰って帰ったチラシの中の絵の右の字を拡大して作兵衛さんの
書いた説明文を判読したが、読むのに苦労した・・・!
「青枠の部分」 → 「やまと狐 医師と見舞客」の箇所
全文はかなり長いので ・・・ 内容を要約すると ・・・
〝 明治三十五年頃、K炭坑の一坑夫がガスケ(ガス爆発)
で大火傷し、自宅で療養中に珍事がおこった ・・・ 真夜中に
突然大勢の見舞客が医師二人を連れて、ドヤドヤと訪れた。
与吉(?父)も女房も看護疲れでうとうとしていたがびっくり、
これはきっとやまの役人・幹部・有志者の方達と思うたらしい。
二十人からの来訪者の中には幼児を抱いた女もおり、
医者は治療していた ・・・ 屋内は暗く、よくは見えない ・・・
がかしこまってていた ・・・
ところが、東天の白けぬ内に皆煙の如く消えた ・・・
その時患者はすでに氷のように冷え息絶えていた。
女房はびっくりして!大声で泣き喚いた ・・・ 驚いて駆け付け
た山の人達は その状況を見て、地団太踏んで悔しがった・・・!
このK坑は山の中で狐が数多く ・・・ 昔からこんなことがあっ
たらしい?
「狐は火傷や痘瘡のドガサ(かさぶた)を好む」
・・・ お判りでしょう!火傷の皮膚をみな狐に食べられた ・・。
明治の匂いのぷんぷんする語り伝え!
私も子供の頃は年寄達に、この種の狸狐が化けた、化かされた
の話をずいぶん沢山聞かされ、怖い思いをしたものです。